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2010/04/21

10【HOME】第7節@川崎F戦

昭和のプロレスファンの方にはご存知の、『風車の理論』。
吹く風の強さに応じて風車の回る力が比例する、つまり相手の強さや良さを最大限に引き出したうえで、それを上回る強い力を発揮して自らが打ち勝つ、というアントニオ猪木の戦法。
100418kawasaki2浦和の最年長選手には、往々にしてそういう嗜好があるようだが(笑)、これはまた、ひいては浦和というチームの体質にも影響を与えているようだ。
今季これまで、どちらかと言えば格下相手の対戦が多かっただけに、ともすれば相手の低調さに同調してしまうところもあったが、今節の対戦相手は川崎。今季浦和の実力を図るには最もふさわしい対戦相手。
ただ今回の場合、これまで驚異的な破壊力を見せつけてきた「はず」の対戦相手が、こちらの想像を下回るコンディションで拍子抜けしたことはいささか残念ではあったものの、、、

それでも、浦和完勝であった結果に変わりはない。

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寒暖の激しすぎるこの春の気候。この日は、前日までの冬の寒さとは真逆なまでの「暑」の日和となった。開門までの間を、ビールで喉を潤すには格好の陽気。ひねもすのたりのたりかな・・・本を片手に芝生に転がり、しばしまどろむ。心地の良い時間はあっという間に流れ、スタジアムへとなだれ込む。
川崎戦とあって、前回ホーム試合よりも100418kawasaki6スタンドは埋まっている。このところの連勝の影響もあるのだろう、現金なファン心理よと思いつつも、やはり観客は多い方が選手もサポートも張り合いが出るというもの。心なしか、前節よりも熱気を帯びるゴール裏。気合いが入る。やはりホームはこうでなくてなくては。久々に披露されたデカユニ旗が、さらなるスタジアムの温度上昇に一役買ってくれている。

スタメン発表。細貝が戻ってきた。この強靱な敵と与するためには、細貝の復帰が必要だった。ハードワークが必須となるこの試合、今季目を見張る活躍を見せる阿部・細貝のボランチコンビで立ち向かうことが、今の浦和の武器である。さらに、新潟戦で視野の広いプレーを見せてくれたサヌの名もあった。今季フィンケ体制の試金石となる最初の試合に、何とか役者は揃ってくれた。

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かたや川崎のスタメンには、懐かしい名が。長い間、欧州を渡り歩き経験を積んだ「背番号20」。常に敵という間柄ながらも、デビュー当時から好きな選手であった。少年の頃から規格外の風格があり、世界を相手に渡り合える選手として、伸二、高原、遠藤とともに、この国のサッカーの未来を背負ってくれるという期待をかけていた。実際、日本人選手の中では一番長く欧州で活躍した経歴を持つ。その選手が帰国し、以前より薄めの水色のユニに袖を通して埼スタのピッチの上にいた。今度も敵だと思いつつも、久々にプレーを目の当たりにできることに少々心が躍った。

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しかし、、、
そんな期待を見事に忘れてしまうほどの素敵な出来事が、ピッチで展開されたのだ。開始間もない前半7分、川崎のクリアボールを奪った細貝が急前進、ミドル一閃。弾道は豪快に川崎ゴールに突き刺さり先制! 川嶋のアシスト気味なタッチにも見えたが、強烈なボールの勢いは彼の指先をはじいてゴールに吸い込まれた。川崎相手に先制点は浦和には願ってもない展開。沸き立つスタジアムの赤い人々・・・の歓声も冷めやらぬ1分後、今度は達也がドリブルでグイグイと川崎陣内に迫り、細貝の放った場所よりやや遠目の位置からミドル一閃。1分前のデジャヴを見ているかのような豪快なゴールが川崎ゴールを揺らした。こんな早々に2点目が決まるとは、、、まだ試合は80分以上ある。集中力の持続が心配になった。

しかし、これは嬉しい「杞憂」となった。ほぼ試合を主導していたのは浦和であった。2点先制され息巻く川崎は、攻守の切り替え早く浦和陣内に襲ってくるものの、どこかプレーの精度に欠け、焦りなのかACL疲れなのか動きの粗さも散見。リーグ屈指の驚異的な攻撃も、鄭とレナチーニョ頼み。オフサイドとなった幻のゴールと谷口のシュートの他は、さしたる危険も感じられなかった。守勢においてはもともと守備に難のある川崎、スカスカ加減の中盤は、浦和の連携の練習場と化していた。ショートカウンターあり、柏木のバーを叩く惜しいシュートもあり、興奮冷めやらぬ展開で、前半終了。

(もちろん浦和的には嬉しいほうに)信じられない展開となった前半。
しかし、川崎が相手である。このままで終わるわけがない・・・はず。

100418kawasaki5後半。川崎は猛然と浦和のボール保持者に襲いかかるものの、序盤からシュートを撃つのは浦和。どこか集中力の欠如と空回り感のある川崎に、いつもの恐ろしさをあまり感じない。しかし後半頭から中村憲剛の投入と、執拗な浦和陣内への侵入戦術が、サヌのファウルを誘い、PK献上(録画を見ても、ファウルポイントは枠外に見えますが・・・)。
この試合の分岐点は、まさにこの後のシーンだった。
このPKの重要性を充分に認識していた山岸が、右手一本でレナチーニョのPKを阻止(「過去のデータを参考にした」、とは試合後の本人の弁)。さらに山岸の弾いたこぼれ球を再度拾ったレナチーニョのシュートは、虚しく上空に舞った。
この一連のプレーを境に、川崎の選手たちの心が折れたように見えた。

危機を脱した浦和は、意気消沈した川崎とは対照的に、自信を深めたようなプレーぶりを発揮。PKを阻止した山岸の嬉々とした表情もまた、彼らの自信を後押ししていたようだった。細貝の猛進ぶりも衰えを知らず、さらに前半から目覚ましかった達也の飛び出しにも磨きがかかり、川崎最終ラインを揺さぶり切り裂き八面六臂の活躍。しかし、やはりというか、あまりのハードワークに脚が悲鳴を上げ、自ら攣った脚を引きずりピッチ外に退場。
その後投入された高原も、押せ押せムードに乗り、奮起してくれた。交代直後、川崎陣内で粘ってキープしたボールをエジにつなぎ、エジのGK強襲シュートのこぼれ球を信じて飛び込んできた堀之内がボールを押し込みダメ押しの3点目。3ボランチに見えながらも、柏木との交代出場を意識してか、投入直後から前線へよく顔を出していた。その効果が結実したものだったと思うが、まぁ、前任の4番と共に以前から前線に出張る選手ではあったので、不思議はないかも知れないが(^^;

「浦和の20番」の動きは、「川崎の20番」のかつてのプレースタイルと重なって見えた。
と、そこで思い出した。
「川崎の20番」・・・稲本のことはすっかり眼中にない自分に気づいた。そのくらい稲本は消えていたと思う。中盤の底で球捌きはするものの、かつての“ダイナモ”のようなパワーと推進力を感じることができなかった。敵ながらも期待を抱いた選手であったが、正直寂しさを覚えてしまった。

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その後は、「浦和の20番」も本来の役目に戻り、他の選手も機を見て攻勢に出ながらも堅実に時間を潰し、試合終了。川崎も最後までドッグファイトで襲いかかってきたが、功を奏さず。
記憶に久しい完勝、そして快勝に、スタジアムの赤い人波も笛と共に拳を突き上げ、拍手で選手たちを讃えた。
一昨年までは個人技頼みのサッカーと揶揄された浦和だった100418kawasaki8が、今日の試合においては、その言葉が川崎に当てはまるものとなった。これもACLのなせる技なのか、出場チームはその傾向に陥りやすい。否、それ以前から、組織としての守備構成が不安 視されていた川崎にとっては、ますますその病症が悪化しているように見受けられた。「川崎山脈」と称される大型DFを擁していても、身長180㎝以下の浦和守備陣から1点も奪えなかったことが現実。確かに身の丈はあるに越したことはないが、無ければ無いなりに防御する策はある、というところがサッカーの面白さでもあろう(ちなみに、この試合の浦和の180㎝超は、山岸、エジ、高原の3選手のみ)。

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今季の浦和を支えているのは、阿部と細貝。負けはしたが、開幕戦から素晴らしいパフォーマンスを両選手とも披露してくれている。昨季終了後、半ば荒療治にも見えた、体制に合わない選手の「放出」は、奇しくも今季両ボランチの再生を実現させた。これこそが今季一番の補強だったのかも知れない。

走力を活かし、攻守共に数的優位を形成する、指揮官の目指す『ボール・オリエンテッド』なサッカーが徐々に形となって育成されてきていることが、何とも喜ばしい。
ただ、昨年のこの時期も好調であったが、夏にかけて失速したことは記憶に新しい。同じ轍を踏まないためにも、夏に向けた戦術対策が急がれる。

選手が活き活きとしてサッカーに取り組んでいる今の姿を、最終節まで見続けていたい。
今季のフィンケ・サッカーの課題は、そこにあるのではないだろうか。

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Jリーグ ディビジョン1 第7節
浦和 3-0 川崎
F2010年04月18日(日) 16:03 KICK OFF 埼玉スタジアム2002(46,313人)
得点:浦和(7分:細貝、8分:田中、72分:堀之内)
主審:村上伸次
先発:浦和(山岸、平川、山田暢、坪井、サヌ、阿部、細貝、ポンテ、田中、エジミウソン)
   川崎F(川嶋、森、井川、寺田、小宮山、稲本、谷口、田坂、黒津、レナチーニョ、鄭)
交代:浦和(58分:柏木→堀之内、71分:田中→高原、89分:ポンテ→高橋)
   川崎F(HT:田坂→中村、HT:黒津→ヴィトール ジュニオール、73分:谷口→登里)
警告:浦和(細貝、ポンテ、サヌ) 川崎F(レナチーニョ)
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余談:
今節の審判団は、甚だお粗末。川崎のオフサイド判定も微妙なら、ロビーへのイエロー(記録を見ると、反スポーツ=シミュレーションの模様)、サヌの与えたファウルの位置、などなど、不信感が募る判定が多すぎでした。
しかし、何故このように高い確率で、川崎戦の審判には恵まれないのでしょうorz...

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コメント

nigoeさん、こんにちは。
川崎戦での、あまりのレッズのパフォーマンスの素晴らしさに、我慢しきれずのブログ・アップと推察いたします。お疲れ様でございます。(笑)
連動性のあるサッカーって、やっぱり熟成が必要不可欠なんですね。去年からの進歩したところは、ホリのコメントに「ゴールシーンは、無意識のうちに体が動いて、あの位置に上がっていました。」っていうのがあったと思うんですけど、このコメントに端的に現れていますよね。
ボールオリエンテッドなプレイで、チームの意思統一ができている。全員が同じ絵をそれぞれの役割の上でスムーズに描ける。
レッズの攻撃は、流れるように。相手の攻撃は、ぶつ切れで、色褪せて見える。

次節の磐田戦。調子の上がってきていない相手ですが、レッズはそんな相手に合わせることなく、更に素晴らしいゲームを見せてほしい。
「ベストゲーム?それは、次のゲームさ。」って、言ったフットボーラーだか監督だかがいましたけど、今シーズンのレッズはまさにそんなゲームを続けてもらいたいものです。うぃーあーの端くれ、たまのりは本気でそう思ってます。

投稿: | 2010/04/22 14:52

@たまのりさま
久々のエントリへのコメント、ありがとうございました(笑)

>連動性のあるサッカーって、やっぱり熟成が必要不可欠なんですね。

「チームが熟成するには、最低2年半は必要」と柏木が言っていたのを思い出します。ご指摘のとおり、無意識に動けるようになるには、トライ&エラーを繰り返す時間が必要ですよね。そしてピッチ上の全員が同じ絵を描けるようになるにはさらに時間が必要なわけで。

次はどのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろう・・・成長の過程を見るのはとても楽しいですね。
磐田戦も期待です。

投稿: nigoe | 2010/04/23 16:07

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