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2009年6月の3件の投稿

2009/06/30

09【HOME】第15節@神戸戦

前節・雨の横浜で、おそらく今季初めてのブーイングを浴びた選手たち。
これまでは内容がどうあれ、「我慢と辛抱の年」との覚悟からか励ましの姿勢をとり続けたサポたちが、初めて叱咤した。しかしこれも、ブーイングをまともに受けるまでにチーム再建が進んだということの表れ。
「3歩進んで2歩下がる」今季の闘いぶりのなかで、昨年と比べ確実に成長していることがある。
「連敗」が、ない。
失敗に終わった試合を失敗のままにせず、必ず修正し態勢を整えて試合に臨んでいる。妙な話だが、出来の悪かった試合の次の試合には、必ず期待が持てる(笑)。
前回のGGRで湯浅氏が語った、「(戦術に見合う選手を見極めるために)『私は決断する』とフィンケは言った」との言葉は、果たしてどこまで実現されるのか。
毎試合、どんな展開を見せてくれるのか・・・不安と期待が交互に訪れる今季の浦和はまさにスリルとサスペンスに満ちていて、本当に目が離せない。


早朝から照りつける太陽と高温の中、東側の抽選に並ぶ人々も、列を離れ日陰に涼を求めていた。やはり皆、長年の経験からか、できるだけ無理をせず体力を温存する知恵を身を以て知っている。荷物だけ置かれた抽選列はみるみる延びてゆき、どこが最後尾か見えなくなるほどに。かつて駒場でこれほど長い抽選列を見たことがない。不安は的中。クジが不足し増刷のため抽選時間10分延長。それとともに並び時間も5分間延長したものだから、列はさらに延びていく。どうやら増刷も間に合わず、過去の2000番以上の抽選クジを緊急投入し間に合わせる有様。おそらく駒場では前代未聞の抽選数となったことは間違いない。この日の天候のように、試合前から駒場東側では熱い闘いが展開されていた。列整理もかつてないほどの時間を要し、落ち着いて小一時間ほどで入場時刻に。

090627kobe6入場後の陣取り合戦も熾烈を極め、私は運良く席を確保できたものの、東側をあきらめ西側へ転戦した知人が多数いた。リーグ中盤戦とは思えない、何とも激しいこの日の「東」。しかしキックオフを待つ間は打って変わって穏やかなひととき。入場時の殺伐さは、強烈な陽射しに溶かされてどこかへ消えてしまったようだった。光が肌に突き刺す痛さを感じながら過ごしていると、ピッチでは放水が行われた。これがスタンドにも涼をもたらしてくれ、風も次第に吹いてきた。選手が練習でピッチに現れる頃には、だいぶ暑さもおさまった。

090627kobe5 練習する選手たちの中に、ロビーの姿があった。先発ではないにせよ、ロビーの復帰は完敗した前節の雰囲気を明るく変えてくれるばかりでなく、チームに活力を与えてくれる期待も感じさせてくれた。スタメンを見ると、負傷の坪井に代えて、リーグ戦先発デビューの永田の名が。その永田は左SBに、前節そこにいた細貝はボランチへ、坪井の欠けたCBには阿部がシフト。このポジション修正が果たして吉と出るかか凶と出るか・・・しかもここは、近年鬼門と試練の場と化しつつあるホーム駒場。前節完敗を喫した指揮官の、チーム立て直しの手腕が問われる試合が始まった。

090627kobe4指揮官の手腕は、すぐに選手たちのパフォーマンスによって証明された。
その『核』となったのが、細貝。彼が後方から相手陣内に顔を出す動きをするだけで陣形も押し上がり攻撃に厚みが増した。呆気ないほどに(笑)、開始2分でのエジミウソンの先制点を演出。
さらに興味を引いたのが左サイドでのボール運び。永田-元気-直輝の連携は、その若さに似合わず円熟の域に達しており、時折細貝がボール中継の核となり絡むことで、さらなる攻撃のバ090627kobe3 リエーションを紡ぎ出していた。とにかくこの若者たちは、「前を向く」。可能性を大いに感じさせてくれる。
しかしひとたび守備に転じると、神に祈りたくなるような場面も「あるには、ある」が(苦笑)、その不安を凌駕する躍動感が、この若者4人とFW2人によってピッチ上に演出されていた。前節の不甲斐なさが嘘のような連動性と、そして昨年絶不調だったFWコンビの再生ぶりが、まるで魔法にでもかけられたような不思議な心地に陥らせてくれていた。

090627kobe7 さて、前節からの懸念のひとつである『守備』はどうだろう。
フィンケの目指すシステムにおいては、快足CBの存在が欠かせない。ナビ杯で実証済みのとおり、暢久-坪井のCBコンビであれば指揮官の作戦は見事に成就されたが、負傷で坪井を欠く今節、闘莉王と阿部のコンビがどこまで目的を達成できるか否かが戦前からの気がかりであった。いっそのこと、闘莉王が攻撃参加してくれたほうがDFラインが自然に上がり、啓太もわかりやす090627kobe2 く最終ラインのフォローに回れるのでは?、などど乱暴な妄想をしてしまったが(笑)、現実はそこまで極端にならずひと安心。神戸の中盤のバタつきにも助けられた感もあったが、前半は、先制点直後の神戸50番による危うい場面があったくらいで、浦和DFラインの裏を狙うだけの単純な神戸の戦術も相まってオフサイドも3~4本獲れ、まずますのラインコントロールを見せてくれていた。しかしそれも前線からの守備と中盤の活動量に支えられてのこと。細貝ひとりがセンターに戻っただけでこの様変わり(後で知りましたが、この日長谷部が観戦に訪れていたとのこと。このことも無縁ではなさそうな・・・)。この暑さの中で、かつての長谷部の役割を担ってくれているような奮迅の働きぶり。“長袖王子”のタフネスさと献身さには全くもって頭が下がる。
膠着した展開と暑さから、1点差で前半を終えるのは不安だと感じていた矢先、このところ復調めざましい高原が、相手DFのチェックを受けながらも、落ち着いて照準を狙い澄ました技ありゴールを決め追加点。この一連のシーンが完結するまでの間、神戸の選手がボールの動きに体がついていけない様子が遠くからでも確認できたので、あとは高原の仕上げの精度だけ・・・との私の期待に、彼は見事に応えてくれた。前半終了前の追加点に時間帯も良しと安心して前半終了。

090627kobe1後半。
前半の勢いのままなだれ込んでいくのかと思いきや、、、この暑さである、そう事は単純に運ばないものだ。
これも考え方だが、前半で保った2点のリードがある限り慌てる必要はないわけで、このまま逃げ切ってしまえば勝利は手中にできる。「否、それでは消極的すぎる」と考える向きもあるだろうが、過酷なこの日の気象条件を考えれば、それは現場を無視した意見であろう。
もうひとつの「前節の懸念」・・・まさかの「前半30分早々からの失速劇」をどうするのか。まさに「ペース配分」がこの試合の鍵を握っていたのではないだろうか。

その目論見を読まれていたのか、はたまた狙っていたのか、後半の神戸は、一気にギアを上げてきた。この日の湿気を帯びた熱気のように、浦和の選手にまとわりつくような守備を仕掛けてきた。向こうサイドで展開される膠着戦を眺めながら、このコンディションでよくもこれだけ体力を出力できるものだと思っていたところ、遠目で見ても嫌な抜かれ方をされたと思った瞬間、大ピンチが訪れた。それも1度ではなく2度も3度も。
正直、神戸の拙攻に助けられた。特に後刻のニュース映像で、「都築ひとりvs.神戸攻撃者3名」の想像するだに恐ろしいシーンが映し出された時は、暑さも吹き飛ぶ悪寒が背筋を走ったが、この大ピンチに事無きを得られたのは、どこの「ネ申」の御加護なのだろう・・・きっと相手の中にいたのだろう。“鰯の頭”も何とやら、、、(^^;。

再三にわたるピンチのかたわら、浦和のチャンスは、後半開始早々に放たれた元気のシュート以外は、可能性のある攻撃シーンはこれと言って無きに等しかった。しかし、サッカーとは、すべての環境要素の影響を受けて試合が進むもの。多分それはスタンドにいたサポーターも実感したのだろう。過酷なコンディションを堪え忍ぶ選手たちの姿に、誰も非難の声を投げつけなかった。「もっと俺たちでアゲてやろうぜ!」との激に応える形で声援を送った。苦しく、目をつぶりたくなるようなミスの場面も多くあったが、選手が苦しい時こその“声援”である。その時こそ、われらの存在意義が問われる。

090627kobe8決して余裕の勝利ではなかった。相手のミスと力量不足に助けられた。厳しい目で見れば、今節の闘いぶりを「成長」とは呼べないかも知れない。
しかし、微調整かも知れないが「改善」はされたと思う。横浜の惨敗ぶりに比べれば、指揮官の目指す戦略が、ピッチ上の選手たちの共通の絵として描かれているさまを感じることができた。時系列を短期的な「点」で捉えれば、わずかな改善にしか見えないことも、この1年のスパンで眺めてみると、その変化ぶりはよく実感できる。
「浦和のペース」というものが、徐々に形成されている実感を。

090627kobe10失敗をしたら、次に克服すればいい。起こってしまったことは取り戻せないし、サッカーには、失敗はつきものだから。
選手たちの表情からは、失敗を糧にして成長を実感していることが伝わってくる。勝利を得た時の自信に満ちた表情がいい。高原の表情に、徐々に磐田時代の精悍さが戻ってきている。「美味しいお酒を飲んでください」との余裕の言葉も口にするように。お許しも出たことで、この日の浦和の街はさぞや盛り上がったことだろう。

間もなく、本格的な夏が到来する。日本の夏を初めて体験するフィンケと、プロとして初めての夏を迎える若者たち。
これまでうまくいっていたものが、今後うまくいかなくなる可能性は大いにある。
先にも述べたように、サッカーとは、すべての環境要素の影響を受けるスポーツであるから、運動量とスピード(走力、判断力)を要求するフィンケ・サッカーが、日本のサマーシーズンに適応できるかと言えば、厳しいと言わざるを得ない。
選手たちの消耗を極力抑えた、日本の気候に応じた「浦和スタイル」の構築は、これから始まる。未知なるステージが、フィンケを、選手を、私たちを待っている。

時々つまづきもするが、必ず立ち上がって前に進む。
まだまだ浦和の成長は続いている。何とも嬉しい限り。

 

余談その1:
朝井女史の「今日は『駒場デー』でしたが、ここ埼玉スタジアムでの試合・・・」の誤爆インタビューにブーイングした私でしたが、人の小さな失敗を突っ込む身分ではございませぬ、とあとで思った次第(笑)

090627kobe9余談その2:
クールダウンに来た若者3人組。最初バクスタにせがまれ挨拶。次に東ゴル裏にせがまれ挨拶。それを遠巻きに見ていた西ゴル裏からも勢いに乗じて要求の声があがるも、さすがに遠かった(笑)。素直な少年たちは、大人のわがままによく応えてくれました。

090627kobe11余談その3:
北浦和への帰り道での1枚。市高では『市高祭』が開催されていました。
『駒場デー』と同日開催だったのは、単なる偶然なのでしょうか?

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2009/06/17

09ナビ杯【HOME】第7戦@大宮戦

サッカーを愉しむ選手たちの姿は、観ている側の者の心も弾ませてくれる。
選手が愉しければ、われらも愉しい。
ここ数年、多くのタイトルを手にしてきたが、こんな当たり前の愉しさを感じることからどれほど長く遠ざかっていたことか。
若手とベテランの融合、組織として取り組む姿勢、有機的に連動するプレー・・・今、浦和はようやく初めてサッカークラブとしての「あるべき姿」に向かっている。これもまた嬉しく愉しい限り。
このたびは大勝に終わった試合でもあり、課題を残した試合でもあった。しかし、これまでの課題を克服しての次なる課題の出現であり、これはすなわち成長の証し。次への期待を大いに抱かせてくれた試合でもあった。
稼働可能な選手をかき集めた史上最悪の台所事情。にもかかわらず、厳しき逆境を大きくはねのけてのグループリーグ1位の結果を出したことは望外上々の出来。代表や怪我から復帰する多くのレギュラー陣に戻る場所があるのかと思わせてくれる、こんな素晴らしく悩ましい「事件」を起こしてくれた2009年のナビスコカップ予選は、そうそう忘れられそうにない。


久々に雨降らずの埼スタ。早朝8時からの当日抽選であっても、やはり「来る人は来る」。
決勝トーナメント進出の懸かった試合ということもあって、前回埼スタ・新潟戦に比べて抽選参加者は多かった。整列を済ませ、開門まで寝て過ごす。陽射しは梅雨雲に遮られていたものの、時間の経過とともに気温が上昇するのが肌で感じられた。列に戻って入場する頃は汗ばむほどに。6月らしい蒸し暑さとなる。入場後のコンコースの陰の涼しさがありがたい季節となってきた。

キックオフ時刻が近づくにつれ、気温はさらに上昇。ギラギラとした陽射しはないものの、湿気を含んだ空気が肌にまとわりつく。選手たちの表情からも暑さが伝わってきた。
戦前情報では、堀之内の左SB先発が話題となっていた。好調の暢久-坪井のCBを変更する理由が見つかるはずもなく、復帰の選手が空いたポジションに回されるのも致し方なしと推理してみたものの、、、実際の左SB先発は、新人の永田を抜擢、堀之内がサブに回ることに。(前半限定ではあるが)前節・駒場でデビューを果たした永田のパフォーマンスを忘れる指揮官ではなかった。決勝進出の懸かった大事な試合であっても若き可能性に賭ける指揮官の積極性には瞠目させられるとともに、われらのサポートマインドにも火を点けてくれる。プロ2試合目の若者が、臆さず勇気を持ってプレーできるようにサポートをしなければ、と。

当日夜の『REDS NAVI』での島崎氏のコメントにもあったように、両サイドは左に元気-永田、右に直輝-代志也の若手による構成。タッチラインを背負っている分の守備エリアが無いため、若い選手への負担が減るとのフィンケの考えであったという。2002W杯の時、虫垂炎を押して左サイドでプレーした伸二が、同様の考えを語ったことを思い出した。苦しい台所事情でもハンディを軽減するための策を練る指揮官の戦術観。決して無謀な起用ではない。フィンケの慧眼には重ねがさね恐れ入る。
サイドを若手に、中軸をベテランで固め、最終ラインの中心に「大将」とも言える暢久-坪井のCBコンビを据える陣形は、さながら戦国時代の魚鱗の陣に少し似ている。サイドの若手の機動力を活かしつつ、その活動で綻びが生じた部分には、中央部の選手がフォロー&サポートし、敵が突破しそうになれば大将が搦め捕る・・・といった具合に。ピッチ上の選手全員の連帯感無くしては機能しない戦術ではあるが、選手が足りない浦和にはむしろ必然の戦術だったのだろう。

そんな事情で若手を多く擁する浦和に対し、目下絶不調街道をひた走る大宮がどう対峙するのか・・・前半開始直後から、栗鼠もとい「窮鼠猫を噛む」ような形相で浦和のボール保持者へ激しいチェックをかけてきた。冷静にボールを回す浦和は徐々にペースを掴みだし、いつしか大宮守備陣は、ただボールを追いかけ回す状態になっていた。時間帯によっては思い出したように猛然と寄せてくるものの、思ったようにボールが取れない苛立ちからか、次第にプレーに粗さが表れてきた。この日の主審は、上半身のプレーに著しく寛容で、足技のプレーにはいささか厳しい判断基準の模様。粗暴とも思えるショルダーや突き技には沈黙し、際どさを感じる足技には判断を下し笛を鳴らしていた。激しいチャージに耐えながらもポゼッションを保っていたのは圧倒的に浦和のほうで、次第に後退する大宮陣内へ、前線の4人だけでなく細貝まで侵入して攪乱。しかし必死に守る大宮は自陣内で何とかボールを奪うと、すかさず浦和DFラインを狙って放り込み。「超速攻」を実現するために主将の小林慶を放出(しかも、残留を争う柏へのレンタル移籍w)するほどの覚悟で臨む大宮は、徹底した縦ポン戦術で素早く攻めようとするものの、それらの攻撃は「大将」コンビの暢久&坪井が難なく捕獲。
そんな動きを繰り返されながらも、浦和の最終ラインは常に高く、中盤も実にコンパクト。前半を通して数本もオフサイドトラップをかけていた。1本はハーフウェーライン付近の相手陣内という大胆な高位置で。これについても先の島崎氏によれば、「CBの2人は、来るなら来い、という気概と自信を持ってラインを上げていた」とのこと。後ろから見ていても実に冒険心を感じさせるラインコントロールで、4バックの特性がここに活きていた。

しかし、なかなか浦和はシュートも打てず、打ったシュートはバーに嫌われ、時はもどかしく過ぎていったが、、、前半38分、ようやく試合が動いた。相手のチャージを受けたエジからこぼれたボールを後方から侵入した細貝が前線へパス→元気スルー→直輝GOALで先制。「速攻ドボン」型の大宮の攻撃スタイルとは対照的に、コンパクトな陣形から波状攻撃とコンビネーションで敵陣を崩す浦和の攻撃スタイル。どちらに多様性と可能性があるかは言わずもがなである。否、口にせずとも後半にその答えは表れた。

後半5分、高原が藤本に倒される。大宮にとってさして危険な態勢になかった(どちらかと言えば、ゴール側ではなくエンドラインに向かって直進していた)高原を後方からチャージ。どんな判定が出るのか見守っていたところ、なんと主審は近くの村山に黄紙提示。「ああ村山だったのか」と思い直したら、実はこれが勘違い。何故か藤本赤紙退場。現場では「異議で一発退場か?」とこれまた主審の演技で2重に勘違いさせられてしまい・・・正解は、主審が間違えて村山に出した黄紙を藤本への警告に付け替え直し、累積2枚で藤本退場、という顛末だったのを知ったのは、帰宅後の録画を観てからだった。全くもって混乱を招きがちな主審のジャッジに不安を覚えたものの、その後の試合展開が、そんな不安を吹き飛ばしてくれた。
なんと1分も経たぬ間に高原が、数分後にはエジミウソンが連続ゴール。藤本退場劇を契機に、大宮の選手の心は折れてしまったようだった。空回りにさえ見えた藤本の奮闘する姿が、大宮の今の心情を象徴するようでもあった。

4-0と大量リードし、よほどのことが無い限り勝利は揺るぎない点差となった頃、、、浦和の課題があぶり出される時間帯となった。
ボール処理時の油断を突かれた暢久が見事なボールロストを犯す。中央にフリーで走り込んできた土岐田にズドンと決められ失点。油断していたのは暢久だけではなかった。暑さのためか、はたまたこの日発令された光化学スモッグの影響か、集中力と運動力の低下が呼んだ、何ともいだだけない失点シーン。スコアが荒れそうな予感がよぎる。

失点で気が引き締まったのか、攻勢に出た浦和はその数分後、これまで何度もシュートチャンスに絡んできた元気の努力がようやく実を結ぶ。ドリブルで仕掛けたのちに放ったシュートは、緩やかな弧を描きながらゴール右上隅にスムーズに吸い込まれ、5点目ゲット。技ありのシュートが美しく決まり、それまでの難しそうな表情が彼から消え、嬉しさに破顔。溜飲が下がったような清々しさが甦っていた。

やはりこの時期のデーゲームは気候に左右されやすい。時間の経過とともに、双方動きが鈍くなりがちになる。圧倒的な運動量でピッチを駆け回った細貝も消耗が目に見えてわかるほどとなり(録画で確認すると、相当な疲労困憊の表情でした)、フィンケはタイミングを計り堀之内を投入して、守備固めを図る算段だったのだろうが・・・これがまた油断を呼んでしまったようだ。
堀之内が守備から攻撃に転ずる時に出したパスが、あろうことか相手選手にわたり被弾。辛くもバーに跳ね返って事無きを得たと思った次の瞬間、これまたフリーにしていた藤田に蹴り込まれ、2失点目を食らい、5-2。またもここで油断していたのは堀之内だけではなかった。自陣内で相手をフリーにするのは、いかに得点差があっても自殺行為に近い。

いずれも後味の悪い失点シーンとなるも、まだ5分ある。このまま試合を終わってしまっては余計に後味が悪い。いつもであればこの時間帯、浦和は時間を使って逃げ切りを図るところであるが、今回はさらに攻勢を仕掛けた。2失点の気まずい雰囲気を何とか払拭しようと前線に出張ってきたのは、1失点目の主役・暢久。2失点目を食らった前後からどうやらCBをクビになったようで(笑)、ボランチへシフト。細貝よろしく前線にスルスルと顔を出し、ノーマークのゴール前スペースに入り込み、蹴り込んで6点目。ビジョンには名誉挽回とばかりにホッとした暢久の笑顔の表情が映し出された。暢久には悪いが、これで失点が帳消しになったとは私は思わないよ(笑)。殊勲を誇るほどの効果的な追加点でもないし、あの時の守備の失敗は、6点目よりもはるかに重いものだったから。確かに追加点を挙げないよりは挙げたほうがいいのだけれど、先の失敗を忘れてまで喜べるほどのものではなかった。しかし失点の責任を取ったという意味では、その努力は讃えたい。
ロスタイムに6-2となれば、どう転んでも勝利は確実。間もなく主審の笛の音が響き試合終了。

追加点、カウンター対応、若手の試合への順応、などこれまで課題とされたことがらはこの試合では改善されていた。2試合連続ゴールの高原の復調も、今後に向けての大きな期待となった。さらに、多くのレギュラー陣を欠きながらも、グループリーグ1位の結果を残せたことは、チーム内でのフィンケイズムが広く浸透していることを意味し、誰が起用されても安定したチーム力を発揮できる可能性を示してくれている。ユース出身者が長年練り上げてきた組織力がトップチームにこれほどの影響を与えてくれているとは・・・彼らにとって、フィンケとの出会いは運命づけられていたのかも知れない。
このままこれらの明るい話題だけで喜びに浸りたいところだったが、、、
この試合はまた、大量得点を得ながらも一抹の不安感を残してくれた。暑さの影響もあったのだろうが、この先はさらに気温が上昇する季節である。今後必要とされるものは、何と言っても集中力。このたびの失点が決して相手の巧さによるものでなく、自らの油断からであったことを自覚し、肝に銘じなければならないと思う。

長いシーズン、決して都合の良いことばかりではない。
大事なことは、課題を自ら気付き、克服していくこと。
次からはリーグ戦再開、しかも酷暑の季節である。ますます気を引き締めて行かねばならない。
単純に喜べる試合はなくとも、確実にチームは成長の階段を一歩一歩登っていることを実感できていることが嬉しい。
さらに、成長を実感しているであろう選手たちがサッカーを愉しんでくれていることが、もっともっと嬉しい。

サッカーを愉しむ幸せを味わい、その結果勝利がもたらされれば言うことはない。
毎試合少しずつでも良いから、そんな幸せを今季は最後まで味わいたい。

(※写真は後刻追加します)

 

余談:
帰宅して録画をみましたが、高原PK獲得の際、今まで見たことが無いシーンがありました。
高原を倒したのは藤本でしたが、主審は間違えて近くにいた村山に黄紙を提示。
その時の村山の表情を読み取るに、主審に向かって、
「オレじゃない、こっちだ!」
と、藤本を指差していました。
自らの無実を訴えるまでは私も理解できますが、ファウルを犯した本人(=仲間)を告発するように指差す行為に、正直驚きました。
その時の藤本の気持ちは本人に聞かねばわかりませんが、抗議もせず無言で立ち去った彼の心中を思うと、同情を禁じ得ませんでした。
この一連の顛末は、現在の大宮の内情を表す縮図のようでした。
しかし、決してひとごととは思えませんでした。幸運にもチーム再建が順調に進んでいる現在の浦和ですが、もし再建が不調の状態であったらなら、このような事態を招いていたかも知れません。『他山の石』として捉え、肝に銘じておくべきでしょう。
以上余談ですが、自分への備忘録として記しておきます。

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2009/06/02

09ナビ杯【HOME】第4戦@新潟戦

代表、ケガ人、出場停止と、稼働可能な選手が18名という前代未聞の人手不足状態での「ベストメンバー」編成を余儀なくされた浦和。練習するにもGKとコーチ陣をフィールドプレーさせなければならないほど人が足りない非常事態の中、平均年齢が23.8歳という若きチームが、矢野だけを欠いただけの、ほぼベストメンバー状態の新潟イレブンに立ち向かった一戦。
どれだけダメージを最小限に食い止めることができるのか、、、苦戦必至などと消極的な思考に陥っていたのは、実は自分のほうだったことに苦笑い。
フィンケの哲学は、より若き選手に浸透していたのだと、感嘆させられた。矢野ひとりが抜けた新潟の方が戦力ダウンが大きく、レギュラーが大量に抜けた浦和の戦力レベルはほぼ維持されていた現実に、今年の浦和の未知なる可能性を感じずにはいられなかった。2点差完封勝利という結果もまた、久々に心躍る出来事となった。


090530niigata1 前週の大宮戦同様、2週続けて前日抽選の無い当日抽選。同じく雨の中。北門待機列は、人で溢れかえり・・・と思いきや、拍子抜けするほどの少なさ。リーグ戦時の当日抽選列よりも若干多目なくらいな程度の抽選参加者数だった。雨の影響も大きかったと思うが、何と珍しくA自由席にも当日券が出るという状況。リーグ戦とカップ戦の観客動員の落差には、毎度考えさせられる。都合が悪く参戦できなかった人については何ら問題はないと思うのだが、リーグ戦とカップ戦を差別化する心理の働き具合に、サポーターの成熟度合いの現状を推し量ることができるのかも知れない。浦和に限らず、新潟も、他のクラブにも言えることなのだろうけれど。

090530niigata2幸い、入場する頃には雨も上がり、試合前のコンディションは前週同様の多湿、少し涼しめ、水分をたっぷり含んだ重馬場のピッチ。前週・大宮戦との違いの少ないコンディションで、内容の異なる試合展開を期待できるのかどうか、、、出場選手の違いや、若さがその鍵を握るのか。

090530niigata3 まず衆目の的となったのが、意外にも若手の誰それが先発か云々ということよりも、CB・暢久の起用。本人曰く初めてというCBでの先発は、本人のみならずサポにも緊張感を与えていた。人手不足による苦肉の策とはいえ、他に適任もない。しかしこの最年長の才能と潜在能力に賭けてみる価値は大いにあった。指揮官だけでなく、サポにも彼の計り知れない可能性を知る者が多いから。今季の浦和は、そういう面からも冒険心に富み新鮮だ。しかし、決して昨季の「奇策」のようではない。ある種の「必然」(今回は苦しい必然であったが)に基づいているから、まだ納得もできるというものだろう。
代志也、峻希、セルヒオ、細貝と、若手が4人も先発。サブメンバーを見ても、かつてないほどの若さで、なんと赤星が最年長。果たして中堅・ベテラン選手との融合は成功するのかどうか・・・不安と期待はまさに表裏一体のなか、キックオフ。

090530niigata4 覚悟していた事態は、すぐに目の当たりとなった。中盤がなかなか機能せず、パスミスを繰り返し、何度かピンチを招いてしまった。特に守備面での対応の不慣れさが目に付いた。抜かれるのを恐れて間合いを取ってしまいがちなのか、プレスをかけに行くタイミングが若干遅く、結局じりじりと自陣深くまで押し込まれてしまう。また暢久がCBに配置転換させられたこともあるためか、サイドの抗力も弱い。こればかりは経験不足をあれこれ責めても詮無きこと、大事に至らぬよう祈るしかなかった。ピンチは招いたけれども、幸い、新潟の拙攻にも助けられた場面も数度あった。
しかし「若さ」には、学習の早さで経験不足をカバーできる能力が備わっている。試合中、どれだけ状況を学習して、すばやく吸収し状況に還元して活かせることができるかどうか・・・
かたや「若さ」には、勢いで状況を変える力も併せ持っている。いわば、気分の「ノリ」。メンタル的に有利となれば、強豪と言われる相手をも圧倒することは不可能ではない。
戦っている最中にも次々と訪れる不安と期待。しかしどこかそれを刺激的に楽しんでいる自分がいた。

序盤はそんな混濁した状況だったが、時間の経過とともに、少しずつ視界が開けていくような変化を実感することができるように。守勢では少々押され気味になるものの、ボールを持ち攻勢に転ずると、若者たちの前に進もうとする意識がよく感じられた。どこかで気持ちが吹っ切れたのか、あるいは徐々に状況に順応してきたのか、あるいは細貝の運動量による効果が徐々に表れてきたこともあるかも知れない。いや、細貝だけでなく、後方を守る選手たちは危機感を覚えて、この試合に臨んだに違いなかった。坪井・啓太・暢久の非常に集中した表情に、その心情が垣間見られた。

090530niigata5 「今いる全員で何とかしたい」という選手たちの気持ちが徐々に高まるのが、スタンドの私たちにもよく伝わってきた。ベテラン守備陣の奮闘ぶりも若者たちのハートに火を点けたのだろうか、代志也が、この日マークを担当していたペトロ・ジュニオールからセンターサークル付近でボールを奪うと、さらに前方に出張っていた細貝に預けた。走りを止めない代志也に細貝も迷わず機を逃さずにリターンパス。胸の空くように型にはまったワンツーは見事に決まり、先制点ゲット!コンビネーション・プレーが、若手に浸透していることを証明する瞬間だった。
この先制点が、勝負の行方を左右する大きな意味を持っていたことは、すぐに誰にもわかったと思う。その後のピッチ上の浦和の選手たちの表情に、「自信」と「落ち着き」が徐々にうかがえるようになってきた。確かに、先制点の直後にカウンターを受け、バー直撃弾を浴びる危ないシーンはあったが、ラインを高くしてコンパクトな中盤を保つ今年の浦和のスタイルでは、被カウンター率が高まるのは折り込み済みで取り組んでいかなければ、やってゆけないのもまた事実。若手には多少守備では難があっても、それを補って余りある攻撃の躍動感に賭けてみたいという気持ちは、私にもあった。ただその分、攻撃の選手を含めたベテラン勢への守備への負担は増すのだが、しかしそのベテラン勢にも若手への期待感があったのか、よく耐え、よく走り、よくフォローした。

後半になると、急造であったはずの守備に、安定感が増してきたようだった。啓太と細貝が攻撃の芽を潰すかたわら、坪井のスピードと暢久の読みと巧さで徹底的にカバー。峻希、代志也の若手が抜かれた後を、最年長の暢久が冷静にカバーする光景は、代役とは言え担当したポジションへの順応の高さをを示すものであったし、ベテランの貫禄を見せつけてくれ非常に頼もしかった。また、試合を通して取ったオフサイドの数もいつもより多い印象を受けた。ロープで最終ラインを繋いだ練習の賜物だろう。
エジ・タカの前線コンビもよく守備をし、高原も前線の中継点となるべく粘り強いプレーに徹していた。

ここで誰もが欲するのが追加点。毎試合悩みの種となっている課題を、今節クリアできるのかどうか・・・そんな長い間の浦和の懸念は、なんと後半11分に払拭されてしまった。最後尾から供給されたフィードボールを左サイドに流れてきた高原がトラップしたものの、相手に囲まれボールロスト・・・の直後、それをセルヒオが狙い澄ましたようにかすめ取り、新潟陣内までドリブル直進。後を追って中央部スペースに侵入した高原へパスを渡すも、高原のシュートはDF2人にブロックされ無情にも上空へ。しかしこのボールをセルが再び拾い、サイドに流れた細貝へ預ける。エンド深くまで抉った細貝からマイナスのセンタリングでセルヒオへ再びボールが渡り、相手DFを軽く躱してシュート・・・放ったシュートはやや力任せではあったが、DFとGKの両者に当たりながらもゴールに吸い込まれていった。
相手にシュートをブロックされ天を仰いだ高原の表情と、最後まで諦めずにボールに食らいつき、可能な限り味方と連携しながらゴールへの執念を持ち続けたセルヒオの粘りが対照的な追加点のシーンだった。

追加点を挙げてからの指揮官は、ぬかり無く采配をふるった。消耗の激しい代志也に替えて公式戦デビューの濱田投入。長身の濱田が代志也の位置に入るかと思われたが、そこには峻希がシフトし、峻希の位置に濱田が入った。しかしこれは意外にも奏功し、高い位置からの守備を効果的にした。長身から繰り出されるスライディングタックルは、相手の攻撃を早いタイミングで確実に防御してくれ、右サイドの安定化に貢献。おそらく走力のある峻希をSBに充てたいとの考えもあったかも知れないが、、、しかし、制約条件の多い中にあっても、適確な判断を下せるフィンケの戦術眼の確かさには、感服させられるばかりである。

090530niigata6 新潟DF陣へ圧力をかけ続ける意図からか、セルヒオをできるだけ長い時間引っぱって使い、ようやく後半30分にお役御免で林と交代。このあたりから浦和は安全第一モードとなり、よほどのチャンスが無い限り無理に攻め急ぐことは自重し、時間を使うプレーを心がけるように。終盤にはエジミウソンに替えて久々に赤星を起用。危険度が低くなった頃合いを見計らって、若手を投入し試合経験を積ませることができた。どちらが戦前不利と言われたチームかわからないくらいの余裕の試合運び。
終了の笛が鳴る頃は、試合前の不安などどこかへ吹き飛んでいた。

090530niigata7 内容的には12節・G大阪戦のほうが上出来だったが、結果と内容の両者が伴ったという意味では、多少相手のミスにも助けられたとはいえ今季の中でも最も良い試合のひとつだったと言えるだろう。
危機感が生んだ集中力と連帯感が、内容にも結果にも好作用した一戦だった。毎度このような余裕のない状況を続けるのは勘弁してもらいたいものだが(笑)、ほどよい緊張感が、選手ひとりひとりに責任ある行動を与え、組織としての活動を潤滑させるものなのかも知れない。

もしかしたら、同じことがサポーターにも言えるのではないだろうか。
この試合、頭数が足りなかったのは選手だけではなかった。リーグ戦に比べ極端に少ない観客(27446人)。ゴール裏中心部にも空席が目立つ状況だった。
しかし、面白いもので、ゴール裏のコールも普段よりパワフルな声量だったような気がする。1人のサポが、2人分、3人分の声を出し、闘っていた。参戦者数の少ないアウェイの心意気にも似た雰囲気があった。
そして、もうひとつ特筆すべき現象としては、要らぬ野次がほぼ皆無だったこと(笑)。
スタンドの皆が、選手と心をひとつにして不利な状況を脱しようとの必死さが、私の周囲からも醸し出されていた。野次なんて飛ばしているヒマや雰囲気など無かった。
久々の心地よさを味わいながら、すべてが終わったスタンドを後にした。

誰が出ても、目指すサッカーは変わらない。
そんなチームに、少しずつでも近づいてくれていることが、とても嬉しかった。
ますます今年の浦和からは、目が離せない。

 

余談:
最近では、「山田」と言えば「直輝」がとかく言い囃されていましたが、浦和と言えば「暢久」であることを久々に印象づけてくれました。
30歳半ばにして、なおも進化を遂げるのか、、、観る者を期待させずにいられない天性の能力で、いくつになっても何とも不思議なオーラを発する希有な選手です。
そういう意味では、彼は永遠の若手なのかも知れませんね。

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