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2009/06/17

09ナビ杯【HOME】第7戦@大宮戦

サッカーを愉しむ選手たちの姿は、観ている側の者の心も弾ませてくれる。
選手が愉しければ、われらも愉しい。
ここ数年、多くのタイトルを手にしてきたが、こんな当たり前の愉しさを感じることからどれほど長く遠ざかっていたことか。
若手とベテランの融合、組織として取り組む姿勢、有機的に連動するプレー・・・今、浦和はようやく初めてサッカークラブとしての「あるべき姿」に向かっている。これもまた嬉しく愉しい限り。
このたびは大勝に終わった試合でもあり、課題を残した試合でもあった。しかし、これまでの課題を克服しての次なる課題の出現であり、これはすなわち成長の証し。次への期待を大いに抱かせてくれた試合でもあった。
稼働可能な選手をかき集めた史上最悪の台所事情。にもかかわらず、厳しき逆境を大きくはねのけてのグループリーグ1位の結果を出したことは望外上々の出来。代表や怪我から復帰する多くのレギュラー陣に戻る場所があるのかと思わせてくれる、こんな素晴らしく悩ましい「事件」を起こしてくれた2009年のナビスコカップ予選は、そうそう忘れられそうにない。


久々に雨降らずの埼スタ。早朝8時からの当日抽選であっても、やはり「来る人は来る」。
決勝トーナメント進出の懸かった試合ということもあって、前回埼スタ・新潟戦に比べて抽選参加者は多かった。整列を済ませ、開門まで寝て過ごす。陽射しは梅雨雲に遮られていたものの、時間の経過とともに気温が上昇するのが肌で感じられた。列に戻って入場する頃は汗ばむほどに。6月らしい蒸し暑さとなる。入場後のコンコースの陰の涼しさがありがたい季節となってきた。

キックオフ時刻が近づくにつれ、気温はさらに上昇。ギラギラとした陽射しはないものの、湿気を含んだ空気が肌にまとわりつく。選手たちの表情からも暑さが伝わってきた。
戦前情報では、堀之内の左SB先発が話題となっていた。好調の暢久-坪井のCBを変更する理由が見つかるはずもなく、復帰の選手が空いたポジションに回されるのも致し方なしと推理してみたものの、、、実際の左SB先発は、新人の永田を抜擢、堀之内がサブに回ることに。(前半限定ではあるが)前節・駒場でデビューを果たした永田のパフォーマンスを忘れる指揮官ではなかった。決勝進出の懸かった大事な試合であっても若き可能性に賭ける指揮官の積極性には瞠目させられるとともに、われらのサポートマインドにも火を点けてくれる。プロ2試合目の若者が、臆さず勇気を持ってプレーできるようにサポートをしなければ、と。

当日夜の『REDS NAVI』での島崎氏のコメントにもあったように、両サイドは左に元気-永田、右に直輝-代志也の若手による構成。タッチラインを背負っている分の守備エリアが無いため、若い選手への負担が減るとのフィンケの考えであったという。2002W杯の時、虫垂炎を押して左サイドでプレーした伸二が、同様の考えを語ったことを思い出した。苦しい台所事情でもハンディを軽減するための策を練る指揮官の戦術観。決して無謀な起用ではない。フィンケの慧眼には重ねがさね恐れ入る。
サイドを若手に、中軸をベテランで固め、最終ラインの中心に「大将」とも言える暢久-坪井のCBコンビを据える陣形は、さながら戦国時代の魚鱗の陣に少し似ている。サイドの若手の機動力を活かしつつ、その活動で綻びが生じた部分には、中央部の選手がフォロー&サポートし、敵が突破しそうになれば大将が搦め捕る・・・といった具合に。ピッチ上の選手全員の連帯感無くしては機能しない戦術ではあるが、選手が足りない浦和にはむしろ必然の戦術だったのだろう。

そんな事情で若手を多く擁する浦和に対し、目下絶不調街道をひた走る大宮がどう対峙するのか・・・前半開始直後から、栗鼠もとい「窮鼠猫を噛む」ような形相で浦和のボール保持者へ激しいチェックをかけてきた。冷静にボールを回す浦和は徐々にペースを掴みだし、いつしか大宮守備陣は、ただボールを追いかけ回す状態になっていた。時間帯によっては思い出したように猛然と寄せてくるものの、思ったようにボールが取れない苛立ちからか、次第にプレーに粗さが表れてきた。この日の主審は、上半身のプレーに著しく寛容で、足技のプレーにはいささか厳しい判断基準の模様。粗暴とも思えるショルダーや突き技には沈黙し、際どさを感じる足技には判断を下し笛を鳴らしていた。激しいチャージに耐えながらもポゼッションを保っていたのは圧倒的に浦和のほうで、次第に後退する大宮陣内へ、前線の4人だけでなく細貝まで侵入して攪乱。しかし必死に守る大宮は自陣内で何とかボールを奪うと、すかさず浦和DFラインを狙って放り込み。「超速攻」を実現するために主将の小林慶を放出(しかも、残留を争う柏へのレンタル移籍w)するほどの覚悟で臨む大宮は、徹底した縦ポン戦術で素早く攻めようとするものの、それらの攻撃は「大将」コンビの暢久&坪井が難なく捕獲。
そんな動きを繰り返されながらも、浦和の最終ラインは常に高く、中盤も実にコンパクト。前半を通して数本もオフサイドトラップをかけていた。1本はハーフウェーライン付近の相手陣内という大胆な高位置で。これについても先の島崎氏によれば、「CBの2人は、来るなら来い、という気概と自信を持ってラインを上げていた」とのこと。後ろから見ていても実に冒険心を感じさせるラインコントロールで、4バックの特性がここに活きていた。

しかし、なかなか浦和はシュートも打てず、打ったシュートはバーに嫌われ、時はもどかしく過ぎていったが、、、前半38分、ようやく試合が動いた。相手のチャージを受けたエジからこぼれたボールを後方から侵入した細貝が前線へパス→元気スルー→直輝GOALで先制。「速攻ドボン」型の大宮の攻撃スタイルとは対照的に、コンパクトな陣形から波状攻撃とコンビネーションで敵陣を崩す浦和の攻撃スタイル。どちらに多様性と可能性があるかは言わずもがなである。否、口にせずとも後半にその答えは表れた。

後半5分、高原が藤本に倒される。大宮にとってさして危険な態勢になかった(どちらかと言えば、ゴール側ではなくエンドラインに向かって直進していた)高原を後方からチャージ。どんな判定が出るのか見守っていたところ、なんと主審は近くの村山に黄紙提示。「ああ村山だったのか」と思い直したら、実はこれが勘違い。何故か藤本赤紙退場。現場では「異議で一発退場か?」とこれまた主審の演技で2重に勘違いさせられてしまい・・・正解は、主審が間違えて村山に出した黄紙を藤本への警告に付け替え直し、累積2枚で藤本退場、という顛末だったのを知ったのは、帰宅後の録画を観てからだった。全くもって混乱を招きがちな主審のジャッジに不安を覚えたものの、その後の試合展開が、そんな不安を吹き飛ばしてくれた。
なんと1分も経たぬ間に高原が、数分後にはエジミウソンが連続ゴール。藤本退場劇を契機に、大宮の選手の心は折れてしまったようだった。空回りにさえ見えた藤本の奮闘する姿が、大宮の今の心情を象徴するようでもあった。

4-0と大量リードし、よほどのことが無い限り勝利は揺るぎない点差となった頃、、、浦和の課題があぶり出される時間帯となった。
ボール処理時の油断を突かれた暢久が見事なボールロストを犯す。中央にフリーで走り込んできた土岐田にズドンと決められ失点。油断していたのは暢久だけではなかった。暑さのためか、はたまたこの日発令された光化学スモッグの影響か、集中力と運動力の低下が呼んだ、何ともいだだけない失点シーン。スコアが荒れそうな予感がよぎる。

失点で気が引き締まったのか、攻勢に出た浦和はその数分後、これまで何度もシュートチャンスに絡んできた元気の努力がようやく実を結ぶ。ドリブルで仕掛けたのちに放ったシュートは、緩やかな弧を描きながらゴール右上隅にスムーズに吸い込まれ、5点目ゲット。技ありのシュートが美しく決まり、それまでの難しそうな表情が彼から消え、嬉しさに破顔。溜飲が下がったような清々しさが甦っていた。

やはりこの時期のデーゲームは気候に左右されやすい。時間の経過とともに、双方動きが鈍くなりがちになる。圧倒的な運動量でピッチを駆け回った細貝も消耗が目に見えてわかるほどとなり(録画で確認すると、相当な疲労困憊の表情でした)、フィンケはタイミングを計り堀之内を投入して、守備固めを図る算段だったのだろうが・・・これがまた油断を呼んでしまったようだ。
堀之内が守備から攻撃に転ずる時に出したパスが、あろうことか相手選手にわたり被弾。辛くもバーに跳ね返って事無きを得たと思った次の瞬間、これまたフリーにしていた藤田に蹴り込まれ、2失点目を食らい、5-2。またもここで油断していたのは堀之内だけではなかった。自陣内で相手をフリーにするのは、いかに得点差があっても自殺行為に近い。

いずれも後味の悪い失点シーンとなるも、まだ5分ある。このまま試合を終わってしまっては余計に後味が悪い。いつもであればこの時間帯、浦和は時間を使って逃げ切りを図るところであるが、今回はさらに攻勢を仕掛けた。2失点の気まずい雰囲気を何とか払拭しようと前線に出張ってきたのは、1失点目の主役・暢久。2失点目を食らった前後からどうやらCBをクビになったようで(笑)、ボランチへシフト。細貝よろしく前線にスルスルと顔を出し、ノーマークのゴール前スペースに入り込み、蹴り込んで6点目。ビジョンには名誉挽回とばかりにホッとした暢久の笑顔の表情が映し出された。暢久には悪いが、これで失点が帳消しになったとは私は思わないよ(笑)。殊勲を誇るほどの効果的な追加点でもないし、あの時の守備の失敗は、6点目よりもはるかに重いものだったから。確かに追加点を挙げないよりは挙げたほうがいいのだけれど、先の失敗を忘れてまで喜べるほどのものではなかった。しかし失点の責任を取ったという意味では、その努力は讃えたい。
ロスタイムに6-2となれば、どう転んでも勝利は確実。間もなく主審の笛の音が響き試合終了。

追加点、カウンター対応、若手の試合への順応、などこれまで課題とされたことがらはこの試合では改善されていた。2試合連続ゴールの高原の復調も、今後に向けての大きな期待となった。さらに、多くのレギュラー陣を欠きながらも、グループリーグ1位の結果を残せたことは、チーム内でのフィンケイズムが広く浸透していることを意味し、誰が起用されても安定したチーム力を発揮できる可能性を示してくれている。ユース出身者が長年練り上げてきた組織力がトップチームにこれほどの影響を与えてくれているとは・・・彼らにとって、フィンケとの出会いは運命づけられていたのかも知れない。
このままこれらの明るい話題だけで喜びに浸りたいところだったが、、、
この試合はまた、大量得点を得ながらも一抹の不安感を残してくれた。暑さの影響もあったのだろうが、この先はさらに気温が上昇する季節である。今後必要とされるものは、何と言っても集中力。このたびの失点が決して相手の巧さによるものでなく、自らの油断からであったことを自覚し、肝に銘じなければならないと思う。

長いシーズン、決して都合の良いことばかりではない。
大事なことは、課題を自ら気付き、克服していくこと。
次からはリーグ戦再開、しかも酷暑の季節である。ますます気を引き締めて行かねばならない。
単純に喜べる試合はなくとも、確実にチームは成長の階段を一歩一歩登っていることを実感できていることが嬉しい。
さらに、成長を実感しているであろう選手たちがサッカーを愉しんでくれていることが、もっともっと嬉しい。

サッカーを愉しむ幸せを味わい、その結果勝利がもたらされれば言うことはない。
毎試合少しずつでも良いから、そんな幸せを今季は最後まで味わいたい。

(※写真は後刻追加します)

 

余談:
帰宅して録画をみましたが、高原PK獲得の際、今まで見たことが無いシーンがありました。
高原を倒したのは藤本でしたが、主審は間違えて近くにいた村山に黄紙を提示。
その時の村山の表情を読み取るに、主審に向かって、
「オレじゃない、こっちだ!」
と、藤本を指差していました。
自らの無実を訴えるまでは私も理解できますが、ファウルを犯した本人(=仲間)を告発するように指差す行為に、正直驚きました。
その時の藤本の気持ちは本人に聞かねばわかりませんが、抗議もせず無言で立ち去った彼の心中を思うと、同情を禁じ得ませんでした。
この一連の顛末は、現在の大宮の内情を表す縮図のようでした。
しかし、決してひとごととは思えませんでした。幸運にもチーム再建が順調に進んでいる現在の浦和ですが、もし再建が不調の状態であったらなら、このような事態を招いていたかも知れません。『他山の石』として捉え、肝に銘じておくべきでしょう。
以上余談ですが、自分への備忘録として記しておきます。

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