09【AWAY】第7節@千葉戦
氷雨降る今年のフクアリ。春雨には似つかわしくない大粒の雨滴が強風とともに傘を打ち付ける嵐の中、蘇我駅から現地に向かう人の流れは、絶え間なく続く。いつに無く人影まばらな待機列エリアが、次第に人々の流れを呑み込んでいく。早朝から現地に来てくれた友人が、私たちを列に迎えてくれた。開門時間直前には差した傘が隣同士でぶつかるほどの密度に。赤い人々は、雨が降ろうが風が吹こうが雪が降ろうが、いつでもどこでも同じエネルギー量を保持している。特にこの会場でのチケット確保は毎度困難を極める。そのこともモチベーションのひとつとなるのだろう、冷たい雨に打たれ、濡れて凍えても辛抱強く開門の時を待つ。雨だから、寒いから、という理由は、参戦放棄の動機にはなり得ない。
荒天の影響か、恒例・千葉県警機動隊の配備数が例年より少ない。珍しく殺伐とした雰囲気も和らいだ(笑)今年の待機列ではあったが、いざ入場となると、入場列の捌きのスピードは例年どおりに遅い。一部の客への優先入場ができるのに、ホーム・アウェイのサポの別に関わらず、遅々として進まない入場作業のために、雨中に大人数の客を長時間放っておくのはいかがなものか。以前、駒場では荒天時の入場を1時間繰り上げたものだったが・・・。チケット販売方法も含めて、浦和以外の他チームのサポーターにも同じ扱いをするのだろうか。「客」という意味では、ホームサポもアウェイサポも同等であるとの意識が、このクラブには著しく欠如している。
入場後、「浦和サポーターの皆様、ようこそ!」との歓待アナウンスが場内に流れたが、これほど気持ちの入っていない場内アナウンスも珍しい(笑)。
冷たい雨に膝から下はずぶ濡れとなった。当然、階段や座席の足元は滑りやすい。もともと席段の幅(踏み面)が狭いということもあり、試合中の「跳ね」における足元に不安を覚える。しかし「跳ね」なければ寒い・・・これもアウェイの洗礼か、いつにない余計な心配を抱えながら、試合に臨むことに。
スタメン発表。ケガが心配されていた直輝は、なんと先発起用。直輝起用について、「練習に全く問題なく合流したので、彼を休ませるという考えは一切無かった」 とは試合後のフィンケの弁。良い意味で、容赦がない(笑)。浦和は前節と同じスタメンにてこの一戦に臨むことに。かたや千葉は、巻を中心に深井、谷澤と曲者を前線に揃え、久々に下村を先発起用。屈強さとスピードを備えた千葉FW陣をどのように封じ込めるかが、勝負のポイントとなりそうな気配。
開始立ち上がりから、千葉の選手の血相が変わった。浦和のボール保持者に猛然と襲いかかってくる。力を制御することも無く、浦和DFの深い位置だけでなくGK都築にまで、どこまでも執拗に、激しいプレスをかけてきた。前節での初勝利を勢いに乗せようと、積極果敢に「肉弾特攻サッカー」を仕掛けてくる。前夜のTVで放映された『少林サッカー』にインスパイアされたのかと見紛うほどのファイトを、ピッチの上で展開する千葉の選手たち。激しいプレスの網の中では、今季「パスサッカー」を標榜する浦和の選手たちが苦戦を強いられるのは必定。加えてたっぷり水分を含んだ重馬場のピッチと雨中の視界では、二重三重の困難に否が応でも向き合っていかねばならなかった。
苦境の中にも活路を見出さんと、浦和の選手があれこれ工夫をする努力は見ていて伝わってくるのだが、プレスが思惑どおりに効を成して気をよくした千葉は、最終ラインも積極的に上げ、なおもコンパクトな包囲網で浦和ボールを搦め捕る。特に千葉・アレックスの追い回しや攻撃参加には浦和DF陣も辟易しただろう。パスミスも多発して(何故がそれほどプレスを受けていない闘莉王までもパスミス多し)何度もボールを奪われた浦和だったが、千葉の攻撃が不発だったことには大いに助けられた。千葉は多くの機会においてボールを奪うものの、いざ浦和陣内に攻め込もうとすると、パスの先には攻撃の枚数も攻め手も足らず、後が続かない。浦和のパスワーク潰しに意識がいき過ぎて、次の攻め手やペース配分には思いが及ばなかったのだろうか・・・。
奪ったり奪い返したりと膠着状態が長々と続いた前半だったが、浦和はおそらく千葉の消耗を予見していたのだろう。一見低調に見える試合展開ではあったが、千葉のプレス網に辛抱強く耐えたうえに、守備に関しては高い集中力を保っていた。攻守の切り替えは雨の影響なく早く、一瞬千葉・工藤に突破され都築と1対1となった場面でも、闘莉王がスリッピーなピッチを活用した勇気あるスライディングタックルで防御。結局千葉の決定機は試合を通してこの場面のみだったようで、スコアでも、前半は前半2分の巻の枠外シュート1本だけ。後半のシュート数も3本で、90分通して撃ったシュート数が4本・・・この数字もまた、千葉の闘いぶりを雄弁に物語っている。
堪え忍んだ前半を終えると、2階席スタンドには、背後から雨が吹き込んできた。何の遮蔽物もない臨海地域の強風が、屋根とスタンドの隙間をかいくぐって雨を運んできた。この風が後半どのような影響を及ぼすのか・・・
そんな杞憂はすぐに風と共に吹き飛んだ。後半開始1分、ロビーから鮮やかなスルーパスを受けた元気が千葉の最終ラインの裏を取り、突破。足がもつれてか芝に足を取られてか、残念ながらシュートには至らなかったものの、「試合が動く」予感を大いに感じさせてくれた。
ハーフタイムの修正がうまくいったようで、千葉の激しい「寄せ」をうまく躱しながら、素早いボールタッチとオフ・ザ・ボールの動きが連動するように。前半に増して、タテ方向の推進力が活発化してきた。その成果は13分、浦和左サイドの元気・直輝と中央の阿部の流れるような連携により表れた。元気→阿部→直輝と渡ったボールは左スペースを突き、エンド深くまで直輝が持ち込みセンタリング。ゴール前ファーに構えたエジミウソンが頭で確実に決めて、先制点ゲット!(実は、エジの頭にヒットした瞬間が前段の人の頭で見えず、次の可視シーンで千葉の選手が押し込んでくれたように見えましたが・・・後刻エジのゴールと確認しました(汗;))。アシストを決めた直輝本人の弁では、「あれは失敗クロス。感覚で上げてみた」と謙遜するが、感覚で上げてもピンポイントにボールを送れるのだから、本当に末恐ろしい。
先制点を奪われたことでゲームプランが狂った感のある千葉は、やはり前半の飛ばしすぎが影響して運動量が低下したうえに、パスミスやパスを見過ごすなど、凡ミスを連発。次第に気持ちが切れ、冷静さを失う千葉の選手たち。
ピッチコンディションの悪い中、タフなバトルを中盤で繰り返しながら、互いにシュートシーンの少ない低調な試合展開ではあったが、そんな状況下でも、相手のゲームプランを読み、落ち着いて徐々に自分たちのペースに引き込んでいく試合運びができた浦和へと形勢が傾いていったのは、道理と言えば道理。ロビーのシュートは惜しくもゴールマウスをかわしてしまったが、これが決まれば、次なる成長のステージへ進めたのだが、そこまでの贅沢は今は言うまい。
「若い選手がどのくらいの時間ピッチに立つべきなのか、責任を持って決める」という指揮官の方針のもと、後半31分元気OUT→セルヒオIN。このあたりから浦和はリアクション・モードになった模様。1-0ということもあり、無理に攻めて失点を招くよりはマシなのだが、元気と直輝が共存しない浦和の中盤では、前進力が減退してしまうのもどうやら実態のよう。この若き2人の存在が、早くも7節にして不可欠なものとなりつつあることに喜びを感じる一方、不安もよぎるのも正直なところ。
しかし、その不安を払拭する勢いで浦和DF陣は奮闘。闘莉王、坪井で中央を固め、その前を阿部・啓太・細貝が徹底的に千葉の攻撃を刈り取ったり跳ね返したり。残り数分間の攻撃では、時間稼ぎのキープで凌ぎ、難なくやり過ごして試合終了。
お互いチャンスの少ない低調な試合であったが、その数少ないチャンスを確実にものにした浦和が勝利をおさめたという結果となった。低調な試合展開なりに、勝利を得るための確実な戦略と努力を持てるようになったこと、これもひとつの成長の証だろう。昨季まで存在しなかった「ゲームコントロール」の力が、今の浦和に育ちつつある。
闘うごとに、成長の証を見せてくれる今季の浦和。
「追加点」という課題はまだまだクリアされないが、焦らずそして確実に課題を克服してくれることを切に願いたい。
今節の勝利で、奇しくも浦和は首位に立ったが、今は順位など関係ない。これまでどおり課題を解決しながら、地道に勝ち点も積み上げることができればいいだけのこと。その結果、最後に順位表の一番上に立てれば申し分のない話ではある・・・が、それもま
た出来過ぎた話。
このところの連勝で気をよくしているのは良いとしても、サポーターが欲張るほどには、まだチームは成長していないことを改めて認識して、気を引き締めたい。
今年のわれらのテーマは、「我慢と辛抱」。
名古屋戦のエントリの最後に書いたとおり、勝利に浮かれることなく、結果に落胆することなく、将来を見据えて内容を求めることを忘れずに見守ってゆきたい。
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