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2007/12/21

07【FCWC】3位決定戦@エトワール・サヘル戦

ACL優勝という甘美の世界から天皇杯緒戦でJ2チーム相手に惨敗し、さらには目前のリーグ制覇を逃した後の世界第3位------。
たったひと月の間に繰り広げられた、「天国と地獄と地獄と天国」。
勝ったり負けたり、選手だけでなく私たちも忙しかったけれど、、、
高くて遠い、手の届かない世界に行ってしまったかと思えば、地面に叩きつけられるほど身近に戻ってきたり、、、
そんな頼りなさが心配だし、放っておけないし、憎めない。
私たちの心を捉えて離さない、飽きさせない(笑)、ドラマチックなクラブ。

おめでとう、そしてありがとう、浦和レッズ。

 

クラブの新たな歴史が創られるかも知れない、その日。
再販のたび何度も挑んでは入手できなかったチケット。昼過ぎまで入手にこだわったものの結局叶わず、横国行き断念。現地の仲間たちに想いを託すことに。残念ではあるけれど、「自分の場所」で闘うことは充分にできる。
決勝との同日マッチメークのためにスタンドの雰囲気に少しの不安があったものの、TV画面には、赤く染まったスタンドが映し出される。現地サポの努力が中継画面を見て伝わってくるようだった。

今季最後の公式戦、加えてクラブ史上最高の名誉を争う一戦。TV画面を食い入るように睨むことしかできないが、それがこの日の「私の戦闘」。しかし、久々のTV観戦は、(当然ながら)布陣を俯瞰から客観的に観察したり選手の表情をリアルタイムに知ることを可能にしてくれた。しかしもちろん、浮き腰になって終始落ち着いてはいられないけれど(笑)。

ACミラン戦で負傷し無念の欠場となった闘莉王の場所を阿部が埋める形となった最終ライン、阿部のいたボランチに長谷部、長谷部のいたトップ下に暢久・・・と、順送りに突き出し移動した中心軸のフォーメーション。急造の布陣がどのように機能するか序盤見守っていたが・・・どうも攻撃が噛み合わない様子。暢久が機能不全に陥ったばかりでなく、右サイドの細貝の可能性のないクロスに半ば絶望感が漂っていた。開始早々の失点劇による焦りなのか、それとも単なる若さなのか、、、キープ時に相手のプレスを浴びるてしまうと、味方の動きをよく見ずに簡単にパスやクロスを出して逃げてしまっていたのが非常に気になった。誰もいないエンドライン方向のスペースに彼のパスが出されると、「ああ・・・」と溜息が出てしまった。
サヘルの守備は、組織だっていて固い。マークの受け渡しもスムーズで、隙のない中央の守備を突破するのは難しく、さらに高さも有しているため空中戦には正確さが必要とされた。厄介なことにサヘルの攻守の切り替えが見事なほど早い。
このままでは局面打開はままならない。どうするオジェック・・・

前半を半ば過ぎ、レッズ布陣の変化にすぐ気付いた。
暢久が右サイドに開き、細貝が中盤の底に、そして長谷部が前に走っていく。そこから全体的に陣形が押し上がったと同時にボールが回り出したため、変化にすぐ気付いたのだと思う。中から右サイドへボールが渡り、PAエリアに向けて、可能性を感じさせる良質のクロスが上がった時、まるで暢久が「こうやってやるんだよ」と細貝にクロスの手本を見せているようだった。セパハン戦で永井が長谷部にシュートのお手本と言わんばかりにゴールを決めたように。
瞬く間に、そのクロスの効果が結果となって現れた。クリアボールを拾った相馬がこれまたお手本のようなクロスを一蹴・・・見事ワ級が同点弾を叩き込む。
「こんな形で終われない」
自身、浦和でのラストマッチに並々ならぬ気迫で臨んだ漢の執念が奪ったゴールの迫力に、TV画面を通して見ても総毛立った。
苦肉の策のポジションチェンジが奏功し、試合を元に戻した浦和。細貝はもともと後方からの展開を得意とするし、長谷部は言わずもがな臨むところのポジション。正直、スタメン時の布陣のほうが“苦肉”だったのではないか?・・・おそらく負傷明けの暢久を、運動量の多いサイドで起用するのに不安があったための当初の陣容だろうと思われた。
相乗効果で相馬も活かされ両サイドも活性化し、その後は見違えるほど連動性を発揮して息を吹き返し、さあこれからという頃に前半終了。

前半の勢いそのままに後半も・・・と考えるほど、現実は簡単ではない。相手はアフリカ大陸王者。世界に名だたる屈強な選手を数多く輩出する大陸のクラブ王者。
後半は、立ち上がりこそ互角だったものの、次第にサヘルが押してきた。堅牢な守備をベースにスピード、技術、体躯に勝る者たちが、ボールを保持すると、シェルミティを中心に浦和陣内へ襲ってくる。厳しい相手のプレスに消耗する浦和の選手たち。ふとミラン戦の再現かと不安がよぎったが・・・幸運なことに、サヘルの決定力の低さに助けられた。
サヘルの拙攻に乗じて、チャンスを先にものにしたのは浦和。永井の少々弾道の低い(失敗気味?)FKにうまく反応したワ級が再びHSでゴールゲット。少ないチャンスを有効に活かすところも今季の浦和のストロングポイント。しかしそれも、ワ級の決定力あってこその物種である・・・さすがというほかない。公言どおり、チームを勝利に結びつけるための貴重な逆転弾を叩き込み、ユニフォームを脱ぎ置きひれ伏す彼の姿に熱狂するゴール裏。
これで試合は決まった------と、思いたかったが。

間もなく、「あろうことか」の失点劇。都築は手を蹴られたそうだが、セルフジャッジで動きを止めてしまったのが致命傷に。あきらめずにゴールを狙ったシェルミティのひたむきさを褒めるべきか。勝敗だけがすべての勝負には、こんなメンタリティが必要なのだから。
勝利ムードが漂っていた浦和陣営は一転して緊張ムードに。目を覚ましたかのようにサヘル陣内へ侵入し仕掛けたが、、、敵も然る者、目標をPK戦での決着に移し、GKまで動員した選手交代で強かに準備を図っていた。対する浦和の指揮官はついに1人の交代もせず・・・
おそらくオジェックは90分内での勝利にこだわり続けたのだと思う。そのために、ピッチにいる選手にすべて託そうとする、半ば“心中”戦法だったのではないだろうか。今のピッチに在り続ける選手たちの、勝利へのメンタリティを壊したくない・・・もしそうならば、オジェックという人は理論派に見えて、意外に本音は“精神論者”なのかも知れない。ワ級がイエロー覚悟で脱いだことを不機嫌ながら咎めなかったことや、その後PKを蹴ることを勧めたのも、そう考えれば腑に落ちる。マスコミを通じて心情を語っていたワ級よりは、気持ちを堪えて内紛の火消しに心を砕いたオジェックのほうが大人の対応をしていたとも言える。社会でもそうであるように、「使われる側」と「使う側」の立場によって振る舞い方も違ってくる、と考えればわかりやすい、ということか。

ついに2-2のまま90分で決着が着かなかった勝負はPK戦へ。
大会がCWCに移行してから初のPK戦となったそうだが、、、本当にこのチームは『初物』を逃さない(笑)。(川崎に先を越されたものの)ACL一次リーグ突破がJリーグ史上『初』なら無敗優勝はACL『初』、このPK戦も大会史上『初』、勝てばアジア勢『初』の3位、何よりJリーグ『初』の快挙・・・全く持って話題に事欠かない。
さらに、その『初』PKを蹴ったのがワ級。その後4人目で『初』阻止したのが都築(ミスの帳消しもできて何より(^^;)。
もっとも、PK戦に勝負を懸けていたのはサヘル側だったが、何故か浦和には負ける雰囲気がなかった。最後までピッチで闘った浦和選手たちの団結心が、打算的な戦術に傾いたサヘル選手の心の隙を突いていたということであれば、、、オジェックの心理作戦は相当なものだと言えそうだ。

かくもドラマチックに、今大会の3位決定戦は幕を下ろした。
開催国の地元クラブが3位入賞と有終を飾り、クラブ自身も初の快挙を成し遂げた。
この試合がラストゲームとなる選手たちが奮闘し、自ら悔いのない闘いぶりを発揮してくれた。
さまざまな想いが去来し、大粒の涙を流したワ級。もらい泣き。
他の選手の表情も追ってみる・・・確かに優勝した時のような破顔ではないものの、しみじみとした喜びに満ちていた。そう、まだ「上」がある------そんな想いを秘めているような。

より高みを目指すために、何が必要なのか・・・選手たちはきっと掴んでくれたと思う。
真剣勝負の場であったからこそ、力の差を計ることができた。
蹴る、止める、という基本動作の正確さが大切なこと、個の力だけではなく明確に意思統一された組織力が大切なこと、ベストの状態で闘い抜くための体調管理や危機管理が大切なこと、、、たった10日間で多くのことを学ばせてもらった。
「知は力なり」。
己を知ること無くして、成長はないのだから。

海外に移籍する選手の話も、大会中随分とまことしやかにささやかれた。
外に出て挑戦することは、やぶさかではない。
ただ、この大会を通じて私が感じたのは、、、『世界』は欧州だけではない、ということ。
この浦和から世界にアピールすることだって十分可能であることが証明された。
外の世界で武者修行し、大きくなって浦和に戻り、世界に打って出る・・・いや、浦和で挑戦を続けて育っていくことだって、決して不可能ではない、と。
何十年かかるかわからないけれど、そんなふうに、欧州や南米偏重な世界地図を塗り替えることが、決して妄想や絵空事ではない、と。
これまで囚われてきた海外至上主義が、もはや“幻想”のように思えてきた。
そう思わなければ、永遠に力の差は埋まらない。

自分たちの『世界の立ち位置』がわかったことで、新しい目標や希望が持てたことが、世界3位になったことより、今年最大の収穫だったのではないだろうか。

新たな挑戦のはじまり。何という幸福感だろう。。。
これからも変わらず、共に歩もう、どこまでも。

 

長い長い2007年シーズンでした。
皆さま、本当にお疲れ様でした。
都合の良いことに、例年よりは少し長いオフシーズンとなりました。
体を休め、英気を養い、軍資金を稼いで、来シーズンに備えましょう。

末筆になりましたが、横国に参戦されました皆さま、お疲れ様&ありがとうございました。

追記:
よく考えてみたら、今大会で2勝したのは、ACミランと浦和レッズの2チームでしたね。

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コメント

おつかれさまでした。
12月頭の、あの絶望的な気分から、明るく楽しい、希望を持った年末年始を迎えることができる・・・
本当にありがたいことです。

>今大会で2勝したのは、ACミランと浦和レッズ
そりゃ、ま、気分よく終われるってもんですわ・・・^_^;

投稿: えりぴょん | 2007/12/21 20:12

世界6分の4大陸王者! おお、この甘美なる響き~(ウフッ)! 
この勝ちが、レッズをさらなる高みに導いていくのでしょうね。

誰とは言いませんが明年3月までしばしの休息ですね(除く代表組!)

投稿: なごやのじーじ | 2007/12/21 21:31

nigoeさん、こんばんは。
今年のレッズは、本当に頑張りましたね。アジアで闘うっていうのは、こういうことなのかと、クラブもサポも実感したのではないでしょうか。
思えば3月7日のホーム、プルシク・クディリ戦は、3対0で勝ったにもかかわらず、不甲斐ない試合と皆ブーイングをしてましたよね。とんでもない思い上がりでした。
でも、我々は皆経験しました。決してアジアの闘いには楽に勝てる相手なんて無いってことを。どんな相手もけっして侮らず、そして恐れずに闘わなければいけないことを。
その経験の集大成が、エトワール・サヘル戦だったと感じています。レッズのすべてを魅せる戦いができたのではないでしょうか。
たまのりは、勝ったこともそうですが、レッズの素晴らしさを世界に向けて発信できたことが、途轍もなく嬉しいです。
来年、一からチャレンジする鹿と脚には、プレッシャーですよね。同じJのクラブとして、恥ずかしい試合は絶対にできない。そして、ACLのリーグ戦は突破して当たり前の評価になっているとしたら、これはすごい苦しく難しい戦いの連続ですよ。彼らに、打ち勝つ力があるのか、そして、その闘いと並行して、Jのリーグ戦を今年と同じように闘っていけるのか、お手並み拝見です。
きっと、今年のレッズの辛さが、そしてレッズと自クラブとの決して超えられない差を感じることになるでしょう。(暗い期待にワクワクですぅ。)
Jでアジアを突き抜けた初めてのクラブ、それが我らの浦和レッズです。来年は、もっともっと高みに行きたい。期待を胸に、今は選手もサポもクラブもリフレッシュに努めましょう。では・・・、We Are REDS!!

投稿: たまのり | 2007/12/22 20:49

今季最終戦。

試合中は全く寒さを感じませんでした。
北側のスタンドに少人数で集まった赤サポ。
南側に負けるなとばかりに全員が声を張り上げました。
PK、南側でするものと思って大旗持った人たちを送り出した後で、都築がこちらに歩いてきたときには覚悟を決めて、
L旗やマフラーを振り回してブーイングしたり(サヘルの選手に)、選手のコールを続けたり(レッズの選手に)。
都築が最後に止めたときには、周囲のサポーター同士、抱き合って喜びました。
試合後は、非常に寒く、風邪気味の私は、決勝戦を見ずに帰りました。

投稿: sat | 2007/12/23 10:03

nigoeさん、こんにちは。
あの試合のオジェックはメンバーを代えづらかったんじゃないでしょうかねえ。特にヤマが右に移ってから、いい感じの試合運びだったですからねえ。

都築がセーブして試合が決した時のシトンの姿には泣けました。最後にゴール裏にも来てくれたし。
その後は空気を読まないケミストリーに腹がたって感動を忘れちまいましたが・・・

来年はCWCの舞台でフルミネンセと戦いましょう。


投稿: no3 | 2007/12/23 13:09

年末につき(最近、言い訳多し)・・・返信コメントが遅れがちになり大変申し訳ありませんm(_ _)m

@えりぴょんさま
今年はイスファハンはじめ多くの海外遠征・・・本当にお疲れ様でした。

>>本当にありがたいことです。
なんだかんだでも「帳尻」を合わせてくれるところが、うちの芸風になりつつありますね(^^;

@なごやのじーじさま
「決してこれで満足していない」という気持ちが、仰るように“さらなる高み”に導いてくれるものと信じています。
選手もサポも、来年もさらに成長したいものですね。

@たまのりさま

>>我々は皆経験しました。決してアジアの闘いには楽に勝てる相手なんて無いってことを。
>>どんな相手もけっして侮らず、そして恐れずに闘わなければいけないことを。
例に取られたプルシク戦のアウェイが、一番過酷な闘いだったと感じました。くじけそうな場面が何度も訪れましたが、選手も現地のサポも見事に乗り切ってくれました。
あのホームでのブーイング、今にして思えば、何という「思い上がり」だったのでしょうね。

>>彼らに、打ち勝つ力があるのか、そして、その闘いと並行して、
>>Jのリーグ戦を今年と同じように闘っていけるのか、お手並み拝見です。
開催が不安視されていますが、ぜひ『A3』は開催して欲しいものですね(笑)

@satさま

>>L旗やマフラーを振り回してブーイングしたり(サヘルの選手に)、
>>選手のコールを続けたり(レッズの選手に)。
ありがとうございました。m(_ _)m
普段の試合のアウェイ会場ではできませんが、これもCWCのケガの功名?(笑)、両ゴール裏に味方のサポがいることが、選手には本当に心強かったことでしょう。
当日、冷え込みが厳しかったようですね。風邪など召されませんでしたでしょうか・・・。

@no3さま
“当日即席ボケンセ”のno3さん、こんにちは!(笑)

>>あの試合のオジェックはメンバーを代えづらかったんじゃないでしょうかねえ。
>>特にヤマが右に移ってから、いい感じの試合運びだったですからねえ。
ホントそうだと思いました。
よく巷では「選手交代が下手云々」で非難の矢面に立ちがちなオジェックですが、やはり「戦況判断」というものはありますよね。うまく回っているものを替える必要はないし。やたら「交代交代」とばかり唱える人々には、少し冷静に戦況を観て欲しいと思う時はあります。しかし、PK戦対応せずスタメンを貫いたオジェックの強気(頑固さ?)には頭が下がりましたが。

>>都築がセーブして試合が決した時のシトンの姿には泣けました。
いろんな思いが去来して、TVを通じてでも「もらい泣き」しました。
なんとかうまく、丸くおさまらなかったのかなぁ・・・と思うと残念でなりません(つ;д`)

ケミストリーは・・・いやはや災難でしたね。彼らにとっても、浦和サポにとっても。空気読まなさすぎですね>運営の中の人
横国って、ただでさえスピーカーうるさすぎですから、唄うタイミングとともに、その不快感たるや甚大だったものとお察しいたします。m(_ _)m

投稿: nigoe | 2007/12/25 13:39

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