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2006/12/07

06【HOME】第34節@G大阪戦

「王座は、王国に帰る。」

悔しさを知る者には、困難に立ち向かう勇気と力が備わるもの。
悲しみを知る者には、よりいっそうの愛情が備わるもの。
14年分の悔しさと悲しさを、力を合わせて乗り越えようと、合い言葉のもと、街を赤く染め、願いを書き寄せ、「夢よ叶え」と切なさで潰れそうな心を奮い立たせて、愛するチームにすべての真心を捧げた。14年間のそれぞれの人生を重ね合わせて。

そして、これらの人々の思いをすべて受け止めて、重圧に打ち克つ心の強さを備えたチームでなければ、自ら栄冠を掴むことなどできない。

「優勝」への道程とは、これほど長く苦しいものなのだ。この試練を乗り越えてこそ、栄冠を得る資格はあるのだ。その苦しさを知らぬ者には、栄冠を得る資格など無い。
今季の浦和レッズとレッズを取り巻くすべての人々には、その資格は充分にあったと思う。

「We are REDS」------みなさん、おめでとうございました。

061202ticket 今季最後のチケット。使い果たしたシーズンチケットの半券束を眺めながら、静かに闘志が湧いてきた。最後の一枚、最後の一戦、最終決戦。
戦場への切符を握りしめ、出発。

朝9時過ぎ、浦和美園駅からスタジアムに向かう。試合まで5時間あるのに、みな出足が早い。そして、いつもと違う空気に気づくのに、時間は必要なかった。またも「チケット求む」のカードを持ち声をはりあげる人並みの間をくぐり抜ける。尋常ではない数。泣きながら譲渡者に礼を言う人、泣きそうな声で求め続ける人・・・同じ空間にありながら、この運命を左右する要因は、一体何なのだろう。釈然としない気持ちと、チケットを入手できない人の心情を思うと、泣きそうになった。さりとて自分のものを譲る勇気はない。中途半端な偽善の心をたしなめるように、この人達の思いも背負って行かねばと、心が奮い立った。

061202misono_a_1

 

 

 

 

 

061202misono2 奮起をさらに促す光景が、まもなく目に飛び込んできた。
歩道橋の上には「THIS IS URAWA」の赤い手書きの横断幕。線路沿いには、この日が最後の「ALL COME TOGETHER」ポスターがあらん限り貼られ、反対のフェンスには、今年のサポーターズクラブの応援旗が飾られていた。
そのうえ、電柱、自販機など至る所に貼られた檄文。
ガンバサポーターを威圧するには充分の殺伐感に満ちていた。

061202misono_b

 

 

 

 

 
自販機にも、徹底した戦意表明が。檄文だけでなく、ボトルの青い部分にも赤いガムテで目隠し。徹底的に赤に染め上げようとするサポの意気込み。
しかし、、、足下の青いカラー舗装模様までには気が回らなかったようだった(笑)

061202gamba1 北門着。前抽点呼には1200組。凄まじい数に入場にも時間がかかる。途方もない番号だったこともあるが、入場すると、やはりいつもの場所周辺の席は取れず。席取りのやり方に、この日のゴール裏には「いつもとは違う人」が多い事を感じる。初めて上層の席に陣取った。まあ、この一戦に限っては、場所など関係ない。
ちなみに、開門1時間経過しても、待機列は解消されず。延々と続く入場に、いつもとの違いを感じた。

061202gamba4 ゴール裏は、緊張した空気ではあるものの、思った以上の殺気立った雰囲気はない。油断も感じないのだが、ほんの少し「確信めいた」雰囲気を感じた。それは勝利に直結する「確信」というより、「俺たちがついているから大丈夫」という、選手たちの後押しをする「自信」に近いものかも知れない。ステージ優勝やCSの時のような「気負い」が少ないように思えた。
選手入場前、スタンドのサポーター全員が、互いにつないだ拳を061202gamba3 空に突き上げ、静かに唄う。緊張の中の静寂と集中。その後のビジュアル・パフォーマンス・・・紙吹雪のような情動的な応援も良いが、緻密に計算された今回の応援手法は、迫力の中にどっしりとした安定感を醸し出し、逆に落ち着きを与えててくれた。

「これで選手たちも落ち着いてくれるのでは」との期待の中、決戦の火蓋は切って落とされた。
061202gamba5 ワシントンを攻撃の核とした堅守のレッズ
かたや、パスワークと爆発的な攻撃力を武器とするガンバ
まさに、今年の両軍の特徴をぶつけ合った決戦となった。

立ち上がりこそ「がっぷり四つ」に組めていたのだが、捨て身のガンバの運動量は凄まじいものがあった。その迫力に押されたのかどうかはわからないが、レッズの選手の動きが硬い。「その061202gamba6一歩」が後手を取る。フリーランも少ないうえにボールをもらいに行く動きが見られない。 もろにガンバの術中に嵌ってしまった。レッズ左サイド、ネネの対応の軽さから先制点を奪われた。
「まさか・・・」という危機的ムードが漂ったものの、その時間は幸いにも短くて済んだ。
「一発殴られて目が覚めた」という指揮官の言葉どおり、ここからレッズが目を覚ました。
061202gamba7 わずかな可能性に賭け、1点先取していよいよ前掛かりになったガンバ。しかしこの焦りがガンバにとっての致命傷となった。ガンバの右サイドを切り裂くポンテの電光石火の一撃で試合はふりだしに。勝敗の行方はここで決してしまったようだ。失点していよいよ前掛かりになるガンバに対し、ねばり強く守備をして凌ぐレッズ。再びのカウンターが狙い澄ましたように決まり、逆転。

得点の場面も失点の場面も、まさに今年の両軍の「強点」と「弱点」。
ワシントンとマグノ・アウベスの両雄が決めた「強点」。
レッズは左サイドの守備、ガンバはここ数試合の“3失点負け”の「弱点」。
それぞれのチームの特徴が明確に表われた。
しかし、、、レッズには、もうひとつ“堅守”という最大の「強み」があった。

後半、もう後がないガンバは、攻め続けるしかない状況。その焦りは、レッズにうまく利用された。シジクレイが負傷により自らピッチを出た。その隙をレッズは見逃さなかった。あろうことかガンバDF陣は、ワシントンをフリーにしたのだ。焦りと疲れから来た油断だったのか・・・ガンバはこの時点で万事休した。
致命的な打撃を受けたガンバの運動量が落ち始めてくれば、それはもうレッズの願ったりの展開。プレーを丁寧にこなしさえすれば、自慢の守備力を発揮することで、時間も過ぎ勝利も近づいて来る。。。の、はずだった。

ギドは3点目を取ったあとの選手交代で達也、坪井、岡野を投入した。
ケガで苦しんだ達也と坪井、そして長年の労に感謝して岡野に花を持たせようとのギドの「計らい」であろうと私は善意に解釈していたが、、、現実はそう甘くはなかった。
アレに替えてそのまま達也を左サイドに就かせてしまったことは、この戦況変化に無縁ではないだろう。
ガンバの猛攻はここから始まった。おそらく、その時点からレッズは1本もシュートを放てていない。長く苦しい時間帯のはじまり。しばらくは凌いでいたものの、達也投入から5分後、失点。その後、レッズはほとんどボールを保有することができず、またマイボールにしても、パスミスしたりでボールを奪われる。
残り7分くらいで坪井と岡野が投入された。その岡野は、彼の魅力であるスピードあふれる攻撃が全くできない状況で、少ない出場時間の中でほとんど守備に奔走させられてしまった。少なくとも、3回はクリアで危機を防いでいた(最後のヘッドクリアも岡野だった)。
ギドの温情は、その場で私にもすぐ理解できた。勝利はほぼ手中にあった。ただ、優勝の経験が無い立場で、しかも失点後であっただけに、その温情をもって試合を061202gamba9託された選手の気持ちは、いかばかりであっただろう。
しかし、選手というものはピッチに立つ以上、死力を尽くして勝利に貢献するものだ。岡野は自身のサッカー人生と、自分の持てる力を振り絞って、懸命に自陣を守っているように見えた。ワシントンまでもが「守備の人」となり、自陣を死守していた。
私はただただ、祈るしかなかった。

061202gamba8終了のホイッスルを聞くまでは、本当に長かった。
最後にガンバを制したのは、レッズの「堅守」だった
今年のレッズの最大の武器は「守備」であったことが、最後の大一番で証明され、雌雄を決したのだった。

岡野のクリアがタッチを割り、ガンバの選手がスローインしたそ の時・・・試合終了。
「夢」が、かなった瞬間。061202gamba16
歓喜の雄叫びで、スタジアムは一斉にはじけた。
次の瞬間、万感の想いを噛みしめていたら、涙があふれた。
声も出ないほど、さめざめと泣いた。止まらなかった。

 

061202win 

 

 

 

 

暢久がシャーレを掲げ、涙。ゴール裏に報告に来て、涙。コールリーダーがシャーレに口づけて、また涙。何か事あるごとに涙が止まらなかった。061202gamba14

“WE MADE IT TOGETHER.”
私たちは、成し遂げたのだ。

浦和を離れ、札幌に住んでいた5年間の間にも、何度も駒場に通った。ダンナが出張先の稚内から夜行に乗って千歳に向かい、一緒に朝一番の便で駒場に向かったその日、J2に降格しWe_madeた。いろんなアウェイに行っては、惨憺たる敗北を喫してみじめな思いで帰ったことも数えきれない。
こんな時、思い出すのは辛かった日のことばかり・・・
その悔しさの連続が、私たちの闘志を支えてくれた。それがいつの間にか、人生の活力となっていた。
そう、、、その悔しさがあったからこそ、この喜びは何物にも代え難い。

ありがとう、浦和レッズ

 

ゴール裏では、懐かしのコールの大合唱が鳴りやまず。061202gamba19
途中まで一緒に唄い、頃合いを見計らってスタジアムをあとに。
外には早速、優勝を祝う垂れ幕がかかり、この最終決戦の勝者061202misono6を告げていた。
笑顔にあふれる駅への道。歩く人々の足取りも、羽が生えたように、みな軽やかだった。
最高の幸せを満載した電車に乗り、私たちの帰りを待つ、夜の帳が降りた浦和の街へと向かった。

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コメント

今か今かと観戦記のアップをお待ちしておりました!!
読ませて頂いて、また涙してしまいました・・・うれし涙ですからね。

投稿: つばさ | 2006/12/08 14:33

nigoeさんの観戦記がなかなかアップされないので、まさか「明日のジョー 真っ白な灰 ≒放心状態」になってしまっているのかと心配しておりました。
でも、臨場感溢れる文章を拝読し、改めてあの日のあの時間が思い出されました。
当方は、埼スタデビューとなる中一の末娘と一緒に、大宮駅のエキュートで弁当を買い、美園の駅から屋台を冷やかしながらスタジアムに入りました。
席はメインアッパーでしたが、ガンバサポの近くといえば近くで、彼らの「俺たちは~ 大阪さ~」という妙に耳に残りやすいメロディーに悩まされながら、試合開始を待っておりました。
赤い旗を振っていたら、バックに現れたエンブレムには娘は大興奮でした「すごい、すごい」と。
家に帰ってテレビを見て、「お母さん、あれを見たよ。」と誇らしげに嫁さんに報告しておりました。
オフサイドのルールなど、全く判らない娘でしたが、レッズ劇場の強烈な印象があったらしく、翌日の埼玉新聞を食い入るように読んでおりました。
「また、父ちゃんとスタジアムに行こうね。」と誘ったら、「ケーキ買ってくれるなら行くよ。」という答えでした。
祝、リーグ初優勝。おめでとうございます。

投稿: 行田住人 | 2006/12/08 17:48

当サイトの観戦記、楽しみにしてくださる方がいるとは、何ともありがたいことです。厚く御礼申し上げます。しかし@niftyの(以下略)

@つばささま

実は、白状すると、、、
先週はずっと、エントリ書きながら泣いておりました。自分の文章に酔ってしまって、もうナルシスト自爆状態でした(笑)。
文章に出ますかね・・・お恥ずかしい(^^;

@行田住人さま

>「明日のジョー 真っ白な灰 ≒放心状態」
大ジョブです、私のキャラはどちらかと言えば、丹下のおっちゃんキャラですから(笑)。だから「立てぇ~!」と試合終わっても言ってます(^^;

お嬢さん、素晴らしい埼スタデビューをなされましたね。あんな感動的な試合は、もう滅多にないと思います。
あの試合で感化されないわけがないっ!特に多感なお年頃ですから。
レッズに惚れちゃったかも知れませんよ。
お父さま、どうなさいますぅ? 選手が「彼」なら許せますか?(笑)

投稿: nigoe | 2006/12/08 22:39

nigoe様
娘の彼がレッズの選手だとしたら、息の長いGKであって欲しいですね。
先週土曜日は寒い一日でした。レッズの試合が無い週末は、寂しい気がしました。
たまたま見たトヨタカップのオークランドのチームのDFをそっくりそのままレッズにもらえないかと思いました。体格はいいし、ガッツはあるし、ハードだし、英語通じるし。
nigoe様は如何思われましたか?


投稿: 行田住人 | 2006/12/11 16:38

@行田住人さま

>娘の彼がレッズの選手だとしたら、息の長いGKであって欲しいですね。

それは、やはり「長く収入が得られる」という将来的メリットも・・・(以下略)。
お、いるじゃないですか!○藤選手、まだまだ先がありますよ(゜∀゜)

>オークランドのチームのDF

すみませんm(_ _)m、見てませんでした(笑)。
そう言えば、岩本テルも、東海道てくてく歩いてケガを克服し、見事復帰しましたね(試合出て欲しいなぁ)。彼も意外と丈夫で長持ちかも知れませんね。

投稿: nigoe | 2006/12/12 14:40

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