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2004/11/26

【HOME】駒場の神様

2004年11月20日 駒場スタジアム 東側ゴール裏。

皆さんは気付いていただろうか?
ゴールネットを支えるポールに、マフラーが結ばれていたのを。
クラブのものか、あるいはサポのものか・・・誰のものかはわからない。だが、「レッズのゴールを守るため」あるいは「レッズにゴールを呼び込むため」という祈りが確かに込められているのが伝わった。普段そこには存在しないものである。
きっとあの『必勝ダルマ』もピッチの傍らに鎮座して願いを込めていただろう。サポはキックオフぎりぎりまで作った紙吹雪に願いを託して空に放った。その日駒場を包むすべての人々の“祈り”を感じ、目頭が熱くなった。

goal

結果。
試合に負けた。
しんと静まりかえったゴール裏。
「栄冠をつかむためには、まだまだ試練に耐えねばならぬのか?」と自問し脱力感に襲われかけた頃・・・下の段にいた女性が携帯を握りしめ歓喜の声をあげ、急にゴール裏は騒然とした。何かが起きた!?確かに何かが起きていたのがわかった。そして場内アナウンスで敵手・ガンバ大阪の敗戦が報じられた。静寂が歓喜に打ち破られるのを合図に、コールリーダーのS氏が泣き崩れた・・・その姿に、私は声も出せずただただ涙があふれた。この特別な試合、敬愛する彼のコールにリードされ90分闘えたことだけでも泣けた。そのうえ優勝に感涙する彼の背中でまた泣けた。静かに仲間と固い握手を交わし、表彰式の間、10年分の涙をぬぐい続けたマフラーに顔を埋め、また泣けた。
選手が挨拶に来る、迎えなければ・・・と拾う紙吹雪を握りしめては、試合前の切ない祈りを思いだし胸一杯になり、また泣けた。「祈りは、通じた」と。

ここ(駒場)で絶対に勝たねばならないと、試合前から皆が意味づけていた。多くの出来事と想いを濃縮した場所であったからこそ、新しい未来へ踏み出す場所としてふさわしい、と誰もが思った。結果、眼前の試合は負けたが、栄冠はやってきた。「これがリーグ戦なのか」と初めて知った。事前の自力優勝の確率はあんなに高かったのに、結果両者が敗戦するという一番低確率な結果で栄冠を手にしたのであった・・・まさに紙一重、奇跡。
「駒場には 神が いた」
レッズをとりまくすべての人々の祈りが通じたのだ、それを叶えてくれる神が駒場にいた、と心の底から思った。
私は神をそれほど信じていない、しかし今度ばかりは『駒場の神様』の存在を信じて止まなかった。

一夜明け、二夜空け・・・実感をかみしめながらも落ち着きを取り戻した頃、“神様”ちなみではあるが、志賀直哉の『小僧の神様』をふと思い出した。

http://sun-cc.juen.ac.jp:8080/~yuji/siga%2Ckozounokamisama.htm

志賀直哉は、思い描いた結論を書くのを「やめた」と記したのちペンを置いている。
自意識を肥大化させ『神』をつくる者(小僧)、かたや自意識が働きすぎて本当の心の動きを素直に表せない者(若い議員)、自意識への反省と救いを込めてペンを置く作者・・・といった“三すくみ”の構図。
主人公の小僧が『サポ』であるとき、小僧の神様になりかけた若い議員は『駒場の神様』にもなり『選手』ともなりうる。
かたや小僧が『選手』であるとき、若い議員は『駒場の神様』にもなるが『サポ』にも読み替えることができる。
さて、ペンを置く作者となるのは果たして誰か・・・。

レッズはついに新しい世界へ踏み出したのである、それはあとへは戻ってはならない道程。
歓喜の一夜が明けた新聞(スポーツ報知)の、福田の記事をかみしめる。
レッズがビッグクラブへと脱皮するには、駒場から卒業しなければならないだろう・・・と。

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